元死刑執行人が死去、バングラデシュ最多の刑執行

AI要約

元死刑執行人であるバングラデシュの男性が亡くなった。彼は凶悪犯罪者や戦争犯罪者の執行を担当し、釈放後は本を出版し、女性と結婚。最近はティックトックで動画を投稿していた。

彼は病気で病院に搬送されたが、死亡しており死因は不明。過去にマルクス主義者として活動し、死刑執行人になった経緯を持つ。

国際的にも死刑執行数が多いバングラデシュで、彼の死刑執行数については異なる見解があるが、彼自身は無実と信じる死刑囚もいた。

元死刑執行人が死去、バングラデシュ最多の刑執行

【AFP=時事】バングラデシュで最も多くの死刑を執行してきた元受刑者が24日、死去した。警察が発表した。悪名高い続殺人犯や戦争犯罪で有罪となった野党指導者、クーデター首謀者らの絞首刑を担い、1年前に刑務所から釈放されていた。

 シャージャハン・ブーヤ(Shahjahan Bouya)さん(70)は、昨年6月に釈放されて以降、死刑執行人としての体験をまとめた本がベストセラーとなり、50歳下の女性と短期間結婚。この数週間は、動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」に10代の少女らとの動画を投稿し、爆発的な人気を呼んでいた。

 警察によると、ブーヤさんは首都ダッカ郊外の工業都市ヘマイェトプール(Hemayetpur)の自宅で24日朝、胸の痛みを訴え、ダッカ市内の病院に搬送された。

 ダッカの警察署長サジブ・デイ(Sajib Dey)氏はAFPに、ブーヤさんは病院到着時には既に死亡しており、医師らは死因を特定できていないと語った。

 家主は借家人のブーヤさんについて、「息が苦しそうだった」「15日前に部屋を借りたばかりで、一人暮らしだった」と語った。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)によると、バングラデシュは死刑判決数で世界第3位。死刑執行は、受刑者が担っている。

 読書家で、マルクス主義者の革命家だったブーヤさんは1970年代、隣国インドのかいらいと見なす政権の転覆を目指す非合法組織に加わった。79年、警察との銃撃戦の際にトラック運転手が死亡した事件で、殺人罪で有罪判決を受けた。

 12年間続いた裁判の勾留中、死刑執行役を担っている受刑者が「最高級」の待遇を受けていることに気付いた。4人の受刑者にマッサージされる執行人も目にした。

「絞首刑の執行人には非常に大きな力がある」。そう思ったブーヤさんは自ら執行人に志願。禁錮42年を言い渡されていたが、数十人の死刑を執行したことで減刑され、昨年釈放された。

 ブーヤさんの死刑執行数について、矯正当局は26回としているが、本人は60回だと主張している。

 1975年にクーデターを企て、建国の指導者でシェイク・ハシナ・ワゼド(Sheikh Hasina Wajed)首相の父を殺害した軍の将校らの処刑も担った。

 人権団体は、バングラデシュの刑事司法制度には大きな欠陥があると非難しているが、ブーヤさんはそうした批判を受け流す一方、少なくとも3人の死刑囚は無実だったと信じていると語っていた。【翻訳編集】 AFPBB News