米政府高官、イスラエル首相の発言に不快感 支援抑制は「不正確」

AI要約

米国政府は、イスラエルのネタニヤフ首相が提供される武器弾薬を控えたと主張したことについて不満を表明。相互不信が高まる中、注目されるバイデン政権とネタニヤフ氏の対応。

ネタニヤフ氏は、ブリンケン米国務長官が武器支援を控えていると述べたとして、米国政府に深い失望を表明。

米国は、ハマスによるイスラエルへの攻撃に対抗する支援をしてきたが、民間人犠牲の増加により態度を硬化。一方、イスラエル側はラファに侵攻した際にも支援を受けている。

米政府高官、イスラエル首相の発言に不快感 支援抑制は「不正確」

 カービー米大統領補佐官(広報担当)は20日の記者会見で、イスラエルのネタニヤフ首相が18日に「米国はイスラエルへの武器弾薬の提供を控えている」と主張したことについて、「間違いなく不正確な声明だ。イスラエル側には深い失望を伝えた」と不快感を示した。パレスチナ自治区ガザ地区への侵攻を巡って、バイデン政権とネタニヤフ氏との間には相互不信が高まっており、7月24日の米連邦議会での演説に合わせたネタニヤフ氏の訪米時の対応が注目される。

 ネタニヤフ氏は今月18日公開のビデオ声明で、ガザ地区のイスラム組織ハマスとの戦闘に関して「ブリンケン米国務長官が最近イスラエルを訪問した際、『米国の支援には感謝しているが、過去数カ月にわたってイスラエルへの武器弾薬の提供を控えているのは信じがたい』と伝えた」と述べていた。

 カービー氏は「声明は予期せぬもので、控えめに言って困惑し、実際には失望した。ハマスの脅威に対抗するため、米国ほど支援した国はない」と強調。イスラエル政府に対して「深い失望と、声明の正確性に関する懸念」を伝えたと説明した。

 米国は、ハマスが2023年10月にイスラエルに越境攻撃して以降、ハマス掃討を進めるイスラエルの後ろ盾となってきた。しかし、ガザ地区への侵攻で民間人の犠牲者が増大するにつれて態度を硬化し、大型爆弾の供与を控えた。

 さらにバイデン大統領は5月、ガザ地区ラファに大規模侵攻すれば、イスラエルへの攻撃用兵器の供与を停止すると警告。ただ、イスラエルがラファに侵攻した後も、米政府は「人口密集地での大規模な攻撃」には当たらない」として武器供与を続けている。【ワシントン秋山信一】