そろそろ「日本の貧困」を真剣に考えたほうがいい…意外と知られていない「大きな問題点」

AI要約

SDGsは2030年までの達成をめざす国際社会の共通目標で、17の目標を持つ持続可能な開発目標。しかし、その意味を理解している人は少ないかもしれない。

日本にも貧困が存在し、特に子どもの貧困が深刻であり、子ども食堂が増えるなど貧困の"見える化"が進んでいる。

困っている人に手を差し伸べることは大切だが、その際には相手のプライドを傷つけないようにすることが重要。

そろそろ「日本の貧困」を真剣に考えたほうがいい…意外と知られていない「大きな問題点」

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混迷する世界はどう動くのか。池上彰氏が見通す人気新書シリーズ第15弾『知らないと恥をかく世界の大問題15 21世紀も「戦争の世紀」となるのか? 』(角川新書)から一部抜粋して、SDGs17項目をいかに考えればいいか解説する。

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 世界共通の目標といえば、「SDGs(Sustainable Development Goals)」があげられますね。2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」のことです。

 2030年までの達成をめざす国際社会の共通目標として、環境や社会など17の目標(ゴール)を掲げています。国際社会が進むべき方向の、道しるべです。

 東京・丸の内界隈を歩くと、17色の丸いバッジをつけた方を大勢見かけますが、どれだけの人があのバッジの意味を理解して歩いているのか。なんとなくバッジをつけると、これが免罪符のようになってしまっているのではないか。

 ちなみに、SDGsの目標その1は「貧困をなくそう」です。

 日本は豊かな国だと思っていましたが、日本にもいわゆる相対的貧困というかたちで、実際にはかなり貧しい人たちがいるのですね。とりわけ「子どもの貧困」は極めて深刻です。たとえば夏休みに入ると、学校給食がなくなります。すると途端に食事に困ってしまう子どもがいる。だからいま、「子ども食堂」が猛烈な勢いで増えています。これがある種、貧困の“見える化”ということになるのでしょう。

 子ども食堂は、子どもたちは無料で食べられるのですが、子どもが貧困だと親も満足に食事ができていないケースが多いのです。「親御さんも無料でいいですよ」としてしまうと、大人に対してプライドを傷つけてしまうことになります。まるで施しを受けているような……。そこで1食100円を徴収するなどの試みもあります。

 困っている人に手を差し伸べることは大切ですが、その人のプライドを傷つけないようにするにはどうしたらいいのか。さまざまな人に対するリスペクトが、とても大事なことだろうと思います。「してやっている」という上から目線になってしまっては、解決になりません。