家電の段ボール輸送箱は「捨てる」から「保管箱として使う」時代がやってくる?(多賀一晃/生活家電.com)

AI要約

初夏とはいえ、エアコン不要な時期に扇風機やサーキュレーターが市場投入される

日立の扇風機「HEF-DL300F」は季節家電として徹底されている

輸送箱を季節の保管箱として再利用する動きがある

家電の段ボール輸送箱は「捨てる」から「保管箱として使う」時代がやってくる?(多賀一晃/生活家電.com)

【家電のことはオイラに聞いて!】#54

 初夏とはいえ、夜は暑くないためエアコンは不要。だけど風は少し欲しい。そんな時期には扇風機やサーキュレーターの当年モデルが市場投入されてきます。

 本コラムでは通年使うことを考えて、送風家電はサーキュレーター系が良いとリポートしました。それでも「私は扇風機がいい」という人もいるでしょう。

 当然です。人は効率だけで生きるわけではありません。こういうユーザーを大切にするのは、どちらかというと老舗メーカーで、日立などが、いい例です。

 ということで、今回は日立の扇風機の今年のモデル「HEF-DL300F」をテストして気づいたことを書きます。それは徹底した「季節家電」だということです。

「季節家電」のポイントは、4シーズンのうち2シーズン程度しか使わなかったりする点です。使わない間はしまう必要がありますが、これがなかなか難しい。なぜならスペース効率がすこぶる悪いからです。本体サイズが、幅と奥行きが同じ371ミリ、高さが735から900ミリ。幅と奥行きが同じなのは土台が円形だからです。しかもモーター位置が高いために、真ん中は支柱のみ。

 しかし、日立のこのモデルの輸送箱の大きさは、幅が370ミリ、奥行きが190ミリ、高さが700ミリ。完成本体のほぼ2分の1になりました。扇風機はユーザーが組み立てることが当たり前になったからです。

 そもそも輸送箱の役目は輸送中に中の家電を故障させないことです。時たま、輸送箱が傷付いているとクレームを出す人がいるそうですが、中身に傷などの問題がなければ輸送箱の交換には応じてもらえないでしょう。

 ですが、昔よりクレームが出やすい仕様になっているのも事実。ギリギリまで薄い段ボールを使うのが常態化しているからです。輸送箱は基本的に捨てるものなので、メーカーは材料費や輸送費のコストダウンを目指しています。

 さらにSDGsが常識となった今、段ボールの中に入れる発泡スチロールが消えつつあります。代わりに段ボールで支えています。

 このように「捨てる」ことが前提だった段ボールの輸送箱を、捨てずに季節の保管箱として使おうというのが、今の日立の考えなのです。輸送箱に収納手順なども印刷されており(写真参照)、保存するように作られています。ただ段ボールは、ちょっと薄いと筆者は感じました。使い勝手を考慮して発泡スチロールもまだ使われていました。

 輸送箱ばかりは広いフロアを誇るヨドバシAkibaに行っても、お目にかかれません。輸送箱への関心がこれまでなかったからです。でも、これからは季節家電を買う時は、「モノを見せて」だけでなく「箱も見せて」という時代が来るかもしれません。

(多賀一晃/生活家電.com主宰)