イスラエル、人質4人の救出作戦に…ガザ住民274人死亡

AI要約

イスラエル軍がハマスに抑留されていた人質4人を救出した際に、死傷者数百人が発生して批判が集まっている。

人質救出作戦は大胆かつ危険で、軍がハマスの拠点に同時急襲をかけた結果、救出成功となったが、多くの死傷者も発生した。

国際社会からの非難が高まり、バイデン米大統領も関与して休戦案を提案しているが、ハマス側の反応は曖昧である。

イスラエル、人質4人の救出作戦に…ガザ住民274人死亡

イスラエル軍が、パレスチナ武装政派のハマスに抑留されていた人質4人を救出したが、救出の過程で死傷者数百人が発生して批判を浴びている。

ロイター通信などによると、イスラエル軍は8日(現地時間)、ガザ地区中部のヌセイラート地域でハマスに拉致されていた男性3人、女性1人を救出した。救出された人質は、ノア・アルガマニさん(25)、アルモグ・メイール・ジャンさん(21)、アンドレイ・コズロフさん(27)、シュロミ・ジヴさん(40)で、昨年10月7日、イスラエル南部で開かれた音楽フェスティバルで人質となった人たちだ。いずれも健康は良好な状態だ。

現地メディアのザ・タイムズ・オブ・イスラエルは「この日の作戦は昼間にイスラエル軍が作戦を遂行したことのない地域で進められ、大胆で危険だった」として「大規模な援護空襲、ハマスとの激しい交戦の中で行われた」と報じた。救出作戦にはイスラエル軍、情報機関のシンベト、イスラエル国境守備隊所属の対テロ部隊のヤマム要員などが投入され、数週間にわたって様々な救出方法で訓練を進めた。

イスラエル軍は、自国軍の陣地から200メートルほど離れた2つの建物にハマスが人質を抑留しているという情報を入手し、2棟を同時に急襲したと明らかにした。この過程でハマスと大規模な交戦が起き、銃撃とロケット推進手榴弾(RPG)攻撃を受け建物を抜け出さざるを得なかったという。4人を一度に救出した同日の作戦は、開戦245日ぶりに収めた最大の成果というのがイスラエル側の評価だ。この日の作戦の名称はもともと「夏の種(Seeds of Summer)」だったが、作戦中に深刻な負傷を負って死亡したヤマムの指揮官アルノン・サモラ氏の名前を取って「アルノン作戦(Operation Arnon)」に変更された。

イスラエルのネタニヤフ首相は同日、人質救出発表直後に声明を出し、「我々はこのようなことを続ける」とし、「すべての人質を救出する任務を終えるまで緩まない」と明らかにした。イスラエル政府によると、ハマスに依然として抑留されている人質は116人で、このうち約40人が死亡したものと推定される。

イスラエル側の自賛にもかかわらず、人質救出作戦中にガザ地区で死傷者数百人が発生した事実が知らされ、非難は大きくなっている。ガザ地区保健省は同日の声明で、前日のイスラエル軍攻撃による死亡者が少なくとも274人、負傷者が598人と集計されたと発表した。パレスチナ自治政府(PA)のアッバース議長は、今回の攻撃が「血なまぐさい虐殺」とし、国連安全保障理事会(安保理)緊急会議の招集を要求した。

欧州連合(EU)のボレル外交安保高位代表もまたX(旧ツイッター)を通じて「ガザ地区で再び民間人虐殺が発生したという報道は衝撃的であり、我々はこれを最も強力な言葉で糾弾する」と明らかにした。ただし、イスラエル側はパレスチナ民間人の死亡者が発生したことを認めながらも、100人程度と集計している。ワシントン・ポストなど米マスコミは「少なくとも210人以上」という主張だ。

一方、バイデン米大統領はハマス側に先月31日に提案した新しい「3段階休戦案」を受け入れるよう圧力をかけている。 しかし、最高政治指導者のイスマイル・ハニエ氏は、「イスラエルが終戦を書面で約束する場合にのみ受け入れることができる」とし、これを拒否した。これを受け、アントニー・ブリンケン米国務長官は10~12日、イスラエルをはじめエジプト、ヨルダン、カタールなど中東諸国を相次いで訪問し、休戦について意見を交わす予定だ。