米大学で学費の高騰が止まらない! その額、年間1000万円超え

AI要約

私立ヴァンダービルト大学が10万ドルに迫る高額な学費を導入することが明らかになり、大きな議論を呼んでいる。

大学進学希望者が支払う価値や他の大学の学費動向について懸念が広がっている。

ヴァンダービルト大学は学費割引制度を持ち、特定の学生には手厚い学資支援を行っているが、今後も多額の学費を要求する見込み。

米大学で学費の高騰が止まらない! その額、年間1000万円超え

私立ヴァンダービルト大学の2024-25年度の学費が10万ドルに迫る額であることが明らかになり、大きなニュースとなった。なぜ、それほど高額な学費が必要なのか? 毎年10万ドル近くを大学に払う価値はあるのか? 米「ニューヨーク・タイムズ」紙が分析する。

大学が「学費を年10万ドル(約1560万円)に引き上げる」と口にするのも時間の問題と思われていた。だが、今春、その兆しが初めて現れた。

ヴァンダービルト大学工学部にこの秋から入学する学生宛てに送られた書面によると、寮費、食費、個人の生活費、高性能ノートパソコン代などすべてが含まれた学費が9万8426ドル(約1530万円)になることが明らかになった。テネシー州ナッシュビルのキャンパスからロサンゼルスやロンドンに1年で3回帰省する学生の場合、その合計は実質1桁上の10万ドルといっていい。

この目が飛び出すほどの高額な学費は、異常だ。ここまで大金の納付を迫られる大学進学希望者は、当面はほんの一部にとどまる。もっともヴァンダービルト大の場合、低所得層出身者向け給付金も特待生向け奨学金も受けていない新入生で、大学側の要求する全額納付対象者は約35%になる。

だが、志願者の大半を門前払いするほかの数十の大学も、おそらく数年以内に未曾有の高額な学費を請求するようになるだろう。学費の上限を引き上げたがっている大学側の姿勢を見れば、大学の品定めをする際、誰もが2つの疑問を感じるだろう──「なぜこうなったのか?」「その大学にそこまで払う価値が本当にあるのか?」。

高等教育NPOの「カレッジボード」によると、非営利運営型の4年制私立大学の2023-24年度の授業料、諸費用、寮費、食費の平均提示額は5万6190ドル(約880万円)だった。公立4年制大学では、州内出身者の学費平均は2万4030ドル(約370万円)だった。

だがそれでさえ、全額をまかなえる学生は多くない。同NPOが2023年版報告書で使用した2019-20年の連邦政府の統計データによれば、2年制大学(昼間部)の場合、授業料と諸費用をすべてまかなえるほどの助成金をもらっている州内出身学生の割合は、39%だった(ただし生活費は含まれていない)。

4年制の公立大では、授業料と諸費用の免除が認定された学生の割合は31%、私大で同等資格を有する学生の割合は18%だった。

私大は以前より、所得の多寡に関係なく、全学生に大幅な学費割引を適用している。全米大学経営者協会の調査では、非営利運営型私大は2022-23年度の授業料を既定の半値以下の56%引き下げたことが明らかにされた。

ヴァンダービルト大にも学費割引制度はあり、きわめて手厚い学資支援が受けられる。今年度はほとんどの学部生を対象とした、所得15万ドル以下世帯出身者の授業料の無償化を打ち出した。

それでも、低所得層出身者向け給付金も優秀者向けの奨学金も受けられない2000人以上もの学生は今後、大学側の要求する10万ドルかそれ以上の学費を払うことになる。なぜ、ヴァンダービルト大はこれほど多額の学費を必要とするのだろうか?