プーチン氏「核兵器」使用を匂わせ、日米韓は初の海保合同訓練…世界情勢を深掘り【WBS】

AI要約

ロシアで開催された国際経済会議で、プーチン大統領が核の使用を匂わせ、西側への対抗心を示しました。

日本海で日米韓の海上保安機関による合同訓練が行われ、連携強化が確認されました。

このような連携の背景には、中国の海洋進出への警戒や日本周辺での海洋安全保障が重要な要素となっています。

プーチン氏「核兵器」使用を匂わせ、日米韓は初の海保合同訓練…世界情勢を深掘り【WBS】

ウクライナ戦争や台湾情勢など世界情勢が緊迫する中、まさに今、世界各地で各国の首脳らが集まる重要イベントが開かれています。まずは、ロシアで始まった大規模な国際経済会議についてです。プーチン大統領が会見を開き、西側陣営への核の使用を匂わせ、対抗心を鮮明にしました。

5日、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで始まった世界最大級の国際経済会議「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」。136の国と地域から企業や政府関係者などが参加します。欧米による経済制裁が続く中、ロシアは孤立を回避したい狙いです。

これに合わせ、プーチン大統領は外国メディアとの会見を開きました。

「なぜか西側諸国はロシアが核兵器を決して使わないと信じている。もし誰かの行動がわれわれの主権と領土一体性を脅かす場合、あらゆる手段を行使することが可能だ」(プーチン大統領)

核兵器使用の可能性を匂わせ、アメリカなどのウクライナへの武器供与に反発する姿勢を示しました。さらに会見では語気を強める場面もありました。

「ロシアがNATOを攻撃したがっているとねつ造している。彼らは正気ではない! 頭が悪いのか? 誰の考えだ?」(プーチン大統領)

また北方領土問題を含む日本との平和条約締結交渉についても言及し「継続する条件が今はない」と指摘。2国間の対話を困難にしたのはロシアではないと主張し、日本側に責任を転嫁しました。

一方で日本とヨーロッパでは、ロシアやロシアに友好的な中国などを牽制するイベントが開かれています。

日本海に面した京都・舞鶴港。海上自衛隊と海上保安庁の拠点があるこのエリアで、普段は見られない光景がありました。

「舞鶴港にアメリカの船、そして韓国の船が並んでいます」(国交省担当の小川知美記者)

アメリカと韓国の海上保安機関の船が同時に日本に揃いました。何をするのでしょう?

舞鶴港からおよそ2時間半の日本海沖。6日午前11時半に始まったのが、日米韓3カ国の海上保安機関による初の海上での合同訓練です。韓国籍とアメリカ籍の貨物船同士が衝突し、乗組員が海に漂流。火災が発生している想定です。

韓国は人命救助のため海洋警察庁の警備船「太平洋16」を臨場させ、日本に協力を要請。海上保安庁の巡視船「わかさ」が出動します。さらに、近くを偶然航海していたアメリカの沿岸警備隊の巡視船「ウェイシー」も日本からの要請で捜索に加わります。

漂流者が見つかると、参加国は船に備えている救助用のボートを向かわせます。さらにアメリカはレスキュー用のヘリを飛ばし、漂流した人を救助。救助した人を日本、韓国の船に移しました。その後、海上で燃え続ける船を3カ国の船が囲んで放水。火を消し止めました。

「当初の目的だった3カ国の連携強化を達成できて安心している」(第八管区海上保安本部の村上歩救難課長)

実は今年5月に日米韓の3カ国の海上保安機関は連携強化を確認する文書に署名しました。今後、東南アジアや太平洋の島しょ国ともこうした捜索救助や違法漁船の取り締まりなどで連携を広げていく方針です。連携の証として今回は互いに船を見学し合うという異例の機会もありました。

「こちらはアメリカの船に積まれているドローンです。捜索救助用でこのようなドローンが3つ搭載されています」(小川記者)

沿岸警備隊はアメリカ軍の一部のため、船にはミサイルやドローンを撃ち落とすためのレーダー付きの機関砲もついています。連携を強める背景にあるのは?

「中国の海洋進出への警戒・けん制の意味合いはあるのか」(記者)

「第三国を考えた訓練ではない。日米韓の協力体制、特に今回の訓練は救難分野での協力体制の確認と向上が目的」(海上保安庁巡視船わかさの中根正信船長)

アメリカと韓国も日本と同様に「特定の国の動きを想定したものではない」と答えましたが、日米韓の3カ国は去年の首脳会談で「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け協力することで一致しています。

安全保障に詳しい「笹川平和財団」小原凡司上席フェローは中国を牽制する動きだと指摘、「日本は尖閣諸島周辺で中国の海警局の船の圧力に常にさらされている。韓国も西側の海域で中国の海警局の船が行動を活発化させているということに懸念を表明している」と話します。