海上保安庁、大型ドローン導入に向け初の実証飛行へ…救難・灯台管理・地形観測で活用

AI要約

海上保安庁が、大型ドローンの導入に向け、今年度中に初めて海上での飛行試験を実施することがわかった。海保関係者が明らかにした。海難救助や事故への対応、灯台の管理、地形観測など幅広い活用が期待される。

新たに導入を目指す大型ドローンは、重量数十キロ程度と陸上で運びやすく、滑走路は要らない。小型機より丈夫なタイプが多く、洋上で数時間の飛行にも耐えられる。すでに海保が運用している無操縦者航空機が外国製なのに対し、ドローン分野は国産機の開発・事業化が進み、導入の選択肢になり得る。

政府は2022年12月、中国の強引な海洋進出などを踏まえ、「海上保安能力強化に関する方針」を決定した。強化すべき6能力の一つに「強固な業務基盤能力」を掲げ、「効率的かつ効果的な業務遂行や省人・省力化の観点からも、新技術の活用に向けた取り組みを推進していく」と明記。その一環に大型ドローン導入を位置付けている。

 海上保安庁が、大型ドローンの導入に向け、今年度中に初めて海上での飛行試験を実施することがわかった。海保関係者が明らかにした。海難救助や事故への対応、灯台の管理、地形観測など幅広い活用が期待される。機材や装備品の選定、配備先の検討を経て、早期の運用開始を目指す。(森田啓文)

 新たに導入を目指す大型ドローンは、重量数十キロ程度と陸上で運びやすく、滑走路は要らない。小型機より丈夫なタイプが多く、洋上で数時間の飛行にも耐えられる。すでに海保が運用している無操縦者航空機が外国製なのに対し、ドローン分野は国産機の開発・事業化が進み、導入の選択肢になり得る。

 大型ドローンを巡視船などに搭載すれば、海難や事故の現場へ先行投入し、迅速で詳細な状況の把握が可能になる。また、航空基地から離れた海上保安部・署や測量船に配備し、灯台や浅瀬の灯標といった航路標識の管理に加え、能登半島地震でも見られた海岸地形の変化を観測する際の活用も見込む。

 海保装備技術部が計画している初の実証試験は今夏以降、大型巡視船を使い、ヘリ甲板を発着する形で大型ドローンを海上で飛行させる。風の強い海上で安定的に飛行できるかに加え、波や航行によって揺れ動く甲板での離着陸などが課題になりそうだ。

 現在、実証試験に参加する事業者の選定を進めており、4月には「大型ドローン導入検討プロジェクトチーム」を関係部署の職員約10人で結成した。

 政府は2022年12月、中国の強引な海洋進出などを踏まえ、「海上保安能力強化に関する方針」を決定した。強化すべき6能力の一つに「強固な業務基盤能力」を掲げ、「効率的かつ効果的な業務遂行や省人・省力化の観点からも、新技術の活用に向けた取り組みを推進していく」と明記。その一環に大型ドローン導入を位置付けている。

 海保の無人機活用を巡っては22年10月、大型ドローンの数倍から10倍ほど大きい無操縦者航空機「シーガーディアン」(全幅24メートル、重量2・2トン、米ジェネラル・アトミクス社製)1機について、青森県八戸市を拠点に運用を始めた。日本の排他的経済水域(EEZ)の外周を1周できる24時間超の航続性能と、15キロ離れても船名を読み取れる監視能力を備え、23年5月に3機、来年度には5機体制へと拡充が進む。