【解説】天安門事件から35年…台湾で追悼式典開催 “事件語る自由”の後退に…遺族グループ“死者83名”の写真公開

AI要約

35年が経過した天安門事件の追悼式典が台湾で行われ、YouTubeで遺族グループが亡くなった83人の写真を公開するなど、中国本土ではタブー視される中、真相究明と責任追及を求める声が広がっている。

台湾の追悼会場では香港の声を代表して慰霊碑のレプリカが展示され、中国軍による武力鎮圧の犠牲者を偲んでいる。また、共産党政権が公表する死者数に疑義が呈されており、実際の犠牲者数は明らかにされていない。

事件から35年が経過しても、中国政府の圧力により犠牲者の遺族らは苦しい状況に置かれており、YouTubeを通じて自らの主張を海外に向けて発信している。

【解説】天安門事件から35年…台湾で追悼式典開催 “事件語る自由”の後退に…遺族グループ“死者83名”の写真公開

4日、中国・北京での天安門事件から35年を迎え、台湾で追悼式典が行われている。

中国本土では、天安門事件に関して触れることはタブーとされている中、「天安門の母」という遺族グループは、YouTubeに亡くなった83人の写真を公開した。

中国の北京で、民主化を求める学生らを軍が武力で鎮圧した天安門事件から、4日で35年となる。

追悼式典が行われている台湾から、沖本有二記者が中継でお伝えする。

台湾では誰もが知る歴史的な施設の敷地のど真ん中に、追悼の場が設けられた。

オープンしたばかりの会場には、少しずつ人が訪れ始めていた。

1989年6月4日、民主化を求める学生らを軍が鎮圧した天安門事件は、中国本土はもとより、2020年に国家安全維持法が制定された香港でも、公の場で語ることはタブー視されている。

そんな中、台湾は時間の記憶を語り継ぐことができる貴重な場となっている。

追悼会場に足を運ぶのは、台湾の人だけでなく、世界各地の人が訪れていて、中でも香港ゆかりの人が多いのが印象的だった。

会場には、天安門事件の犠牲者をモチーフにした慰霊碑のレプリカが設置してある。

オリジナルは香港にあったが、当局に押収されていて、「香港の声」を台湾が代弁している形となっている。

香港では、2024年3月に施行された「国家安全条例」によって、天安門事件に関連する内容をSNSに投稿したなどとして、これまで8人が逮捕されている。

追悼会場では4日の夜、6月4日にちなんで64秒間の黙とうが行われる。

ここからは、フジテレビ・立石修取材センター室長が解説する。

青井 実 キャスター:

35年がたって、さらに言論の自由が後退している印象です。

フジテレビ・立石修 取材センター室長:

天安門事件は、民主化を求める学生らを中国軍が武力鎮圧した事件で、若者がたった1人で戦車の前に立ちはだかる映像が有名だ。

1989年6月3日の夜から4日にかけて武力鎮圧が始まり、多くの死傷者が出た。

当時、世界中に衝撃を走らせた事件だった。

宮司 愛海 キャスター:

中国の共産党政権は死者319人と発表していますが、実際にはそれをはるかに上回るとの指摘もあります。

青井 キャスター:

ーー共産党政権は弾圧を正当化していて、問題は解決済みという立場だが、犠牲者の家族の方々は、どうしているのでしょうか?

立石 取材センター室長:

中国本土で公に事件に触れるのはタブー。そのため犠牲者の家族は、今も怒りや悲しみとともに暮らしている状況だ。

宮司 キャスター:

「天安門の母」という遺族グループがYouTubeに公開した動画では、亡くなった83人の写真を公開。声明文では「この35年、愛する人を失った痛みに耐えてきた」としたうえで、「中国政府は事実を隠蔽してきた」と非難し、真相究明と責任の追求を今も求め続けています。

立石 取材センター室長:

中国では、こうした遺族らの声は徹底的に抑え込まれ続けているため、遺族は中国当局の統制が及ばないとされているYouTubeで声明を投稿した。

しかし、中国国内では閲覧できないとみられるため、英語の字幕が常に入っているという状況で、海外に向けて自分たちの立場を主張しているという性格も帯びている。