英紙「韓国経済の奇跡は終わったか─米国や日本の“模倣”で成長した経済モデルの限界」

AI要約

韓国経済の失速と製造業への依存、政府のAI特需への取り組みが取り上げられている。

ソウル郊外に巨大な半導体集積地が建設される過程が詳細に述べられている。

半導体産業への投資が重要視されつつも、古い経済モデルに固執する政府への懸念が示されている。

英紙「韓国経済の奇跡は終わったか─米国や日本の“模倣”で成長した経済モデルの限界」

かつて「漢江の奇跡」とまで言われた韓国経済の失速が著しい。製造業への依存や財閥支配といった過去の成長モデルから脱却できないからだと、英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」が報じている。そんななか、韓国政府はAI特需を見込んでソウル郊外に巨大な半導体集積地を築こうとしてるが……。

ソウルから南に40キロ離れた龍仁(ヨンイン)市郊外では、韓国の大統領が世界的な「半導体戦争」と呼ぶ状況に備えて、無数の掘削機が準備を進めている。

掘削機は1日に4万立方メートルもの土砂を運びだし、山を真っ二つに切り崩しながら、新たな半導体クラスター(集積地)の土台を築いている。その一角には、世界最大規模の3階建て製造工場も建設される予定だ。

半導体メーカーのSKハイニックスが910億ドル(約14兆円)を投じて建設したこの1000エーカーの製造拠点は、サムスン電子による300兆ウォン(約34兆円)の投資を含む総額4710億ドル(約74兆円)規模の「半導体メガクラスター」の一部に過ぎない。

この開発は、主力の輸出産業がアジアや欧米のライバル国に奪われるのではないかという不安が高まるなか、政府主導で進められている。

「我々はSKハイニックスと力を合わせ、韓国企業が国際的な半導体クラスター競争で遅れを取らないよう全力で支援します」と、韓国の安徳根(アン・ドクグン)産業通商資源相は3月、龍仁工場で開かれた会合でSKハイニックスの幹部に語った。

業界の専門家の大多数は、韓国の半導体メーカーが最先端のメモリーチップ市場で技術的優位性を維持し、今後、爆発的な成長が見込まれるAI関連ハードウェア需要に対応するためにも、龍仁工場への投資は不可欠だと考えている。

一方で、エコノミストたちは、製造業と大手企業という従来型の成長ドライバーへの投資を強化しようという政府の決断は、すでに行き詰まりつつある経済モデルを改革する意思や能力がないことの表れではないかと危惧している。