「火の中」発言の呉中国大使 過去に天皇陛下との会見通訳も 強硬競う習体制の戦狼外交官

AI要約

中国の呉江浩駐日大使が台湾問題で日本に対して恫喝発言をしたことについて、日中外交関係者の視点から解説されている。

呉江浩大使は日本通として知られ、日本語に堪能で、日本の技術に関心を持っていることが明らかにされている。

過去の交流や大使在任経験に関するエピソードも紹介され、日中関係や台湾問題における彼の出自や立場が垣間見える。

「火の中」発言の呉中国大使 過去に天皇陛下との会見通訳も 強硬競う習体制の戦狼外交官

「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」。中国の呉江浩駐日大使が5月20日、台湾を巡り、外交官らしからぬ恫喝をした。呉氏は中国外務省で日本の専門家「ジャパンスクール」きっての日本通とされる。なぜ、こんな発言をしなければならなかったのか。

問題の発言は、東京の中国大使館で開かれた座談会で飛び出した。

ある日本側の出席者は「ずいぶんきつい発言だと思った」と回想した。座談会後の昼食会に、呉氏は姿を見せなかったという。

日中外交の関係者によると、昨年、日中平和友好条約45年を記念する行事が開かれた際、呉氏は日中関係の意義を強調していた。この関係者は、「今回の座談会は台湾が議題。北京がどう見ているかという視座の中、大使はどこまで日本側に強く言うかが問われた」と違いを指摘した。

今回の発言は、台湾の頼清徳総統の就任当日、呉氏が習近平体制の指導部に対日強硬姿勢でアピールを図ったとの見方が強い。

■天皇会見の通訳も

呉氏は上海外語大で日本語を学んだ。1998年、当時の江沢民国家主席が中国の元首として初来日した際、呉氏とみられる人物が天皇陛下(今の上皇さま)との会見で通訳を務めている。

呉氏が92年に日本でホームステイした時、ホストファミリーとなった埼玉県上尾市の小野哲二郎さん(77)は、「あまりにも日本語がうまいので『どうやって学んだのか』と聞きました。すると『頭の中で考えるときから日本語を使うようにしている。そのせいか米欧外交官と話すとき、英語が出てこなくて困る』と答えた」と話す。受け入れた際には、中国側から「この人はエリートですよ」と紹介された。

呉氏は日本の技術に関心を示した。小野さんが給食センターに連れて行った際、衛生的で効率ある仕組みに感心し、「中国でもこういうものが必要だ」と話したという。昨年、大使就任後に再会したとき、小野さんから天気予報機能付きの鏡をもらった思い出を語り、「機能は壊れたが、いまも鏡として使っている」と言って驚かせた。呉氏の日本大使館勤務は今回で3度目。日本に滞在した経験は、通算約10年に及ぶ。

■「日本通」の出世相次ぐ