【谷繁元信】ベッツの打撃は「動から動」日本人タイプ 鍛え上げた肉体自在に操る

AI要約

ムーキー・ベッツは、大きな動きをしながらもボールを捉える能力が高いバッターである。

彼のバッティングスタイルは「動から動」であり、日本人選手とも共通点がある。

ベッツは見た目に反して鋼のような筋肉を持ち、高い身体能力を自在に操ることができる選手である。

 ドジャースのムーキー・ベッツのバッティングの特徴に、動きが大きいわりにボールを捉える能力が高いことが挙げられる。まずは突っ立ったように構え、投手が動き始めるのに合わせてタイミングを取る。そこから膝を曲げ、前傾姿勢になって打ちにいく。一連の動きの中でタイミングを取ってバットを振り、ボールを捉えている。動体視力がいいのだろう。

 今のメジャーの主流は「静から動」。大谷や吉田もそうだが、シンプルに動きを少なくしてバットを振る。対照的に、ベッツは動きの中でボールを捉える「動から動」。どちらかといえば、日本人もこのタイプが多い。そういう点で、日本人ぽいと感じる。

 体もメジャーリーガーの中では、それほど大きくない。見た目では「薄い」という印象を持ってしまう。ところが、ユニホームを脱ぐと全く違う。米国で今春キャンプを取材した際、ロッカールームで上を脱いだ姿を目にした。まるで鋼のようで、かつ柔らかそうな筋肉をしていた。例えるなら、ボクサーのような感じだ。

 身体能力が高いのは言うまでもない。プロ、しかもメジャーリーガーなのだから当然だ。ただ、その高い能力を扱える選手じゃないと、ここまでの結果は残せない。守備力もそうだし、バットコントロールの良さもそう。鍛え上げた肉体を、ベッツは自在に操れている。(日刊スポーツ評論家)