鎌田大地は“当然の代表復帰”、では伊東純也の招集見送りの理由は? 日本代表最新メンバーから読む“森保監督の思惑”「W杯まで考えるなら…」

AI要約

日本代表の北中米W杯アジア2次予選に向けたメンバー発表。勝ち点12を獲得し、3次予選進出を決めているため、今回の活動は主力選手を休ませつつ新たな戦術や選手の登用を模索する機会となる。

若手選手の活躍が注目される中、クラブと代表活動の兼ね合いや選手のポジション確保の難しさが浮き彫りに。森保一監督が積極的に新人を招集し、日本代表のオプションの底上げを図る姿勢が見られる。

過密なスケジュールや選手のフィットネスを考慮しつつ、オーバーエイジの招集によるリスクも議論される中、日本代表の将来像やチームの結束力が問われる。

鎌田大地は“当然の代表復帰”、では伊東純也の招集見送りの理由は? 日本代表最新メンバーから読む“森保監督の思惑”「W杯まで考えるなら…」

 テーマは「オプションの底上げ」だろう。

 6月の北中米W杯アジア2次予選に臨む日本代表が発表された。ここまで4連勝で勝点12を稼いでいる日本は、すでに3次予選(最終予選)進出を決めている。6月6日にアウェイでミャンマーと、11日にホームでシリアと対戦する今回の活動は、主力選手をフル稼働させなくてもいい。様々なトライをしたうえでも、勝利が見込める2試合である。

 だとすれば、現時点で主戦術となっている4-2-3-1だけでなく、4-3-3などでも、ポジションごとの序列を見定めていきたい。「オプションの底上げ」とはそういう意味だ。

 森保一監督が作成した26人のリストには、パリ五輪世代の久保建英と鈴木唯人が含まれていた。大岩剛監督が指揮するチームは、6月7日と11日にアメリカでテストマッチを戦う。そのなかで彼らが日本代表に招集されたことについて、日本サッカー協会の山本昌邦ナショナルチームダイレクターは、「日本代表が最優先なのは基本中の基本です。最終予選へ向けていい準備をするなかで、力のある選手が招集された」とし、久保と鈴木の現状に触れた。

「クラブとのやり取りは継続的に、時間をかけて丁寧にやってきました。鈴木と久保に関しては、FIFAのIW(インターナショナルウィンドウ)以外は招集できない。クラブ側が招集に応じないという結論に、現状では至っている」

 シーズン終盤に所属クラブでインパクトを残した鈴木には、デンマーク1部リーグからステップアップするとの噂もある。五輪はヨーロッパの多くのリーグのプレシーズンと日程が重なる。そのため、新天地を選ぶ選手が出場すると、チームにフィットする時間、監督にアピールする時間が削られてしまうことになる。クラブでのプレータイム確保が選手の成長につながり、それがそのまま代表チームのレベルアップに結びついていくと考えると、U-23世代の五輪代表招集にも慎重にならざるを得ないところがある。

 東京五輪にオーバーエイジで出場した吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航は、メキシコとの3位決定戦から1カ月も経たないうちにカタールW杯アジア最終予選の開幕戦に出場した。そして、日本代表はオマーンに0対1で苦杯をなめた。酒井はオマーン戦後にオーバーワークを考慮され、チームを離脱している。U-24世代で東京五輪に出場した板倉滉も、一度は招集されながらケガで離脱した。

 パリ五輪でベスト4まで勝ち上がると、8月9日または10日まで試合がある。そして9月には、北中米W杯アジア最終予選が組まれている。日本代表の主力をパリ五輪のオーバーエイジに招集したら、3年前と同じように心身ともに疲弊したなかで最終予選に突入する、という事態も想定される。オーバーエイジの招集については、クラブの事情に加えて、そこまで考えておく必要がある。