【日本ダービー みどころ】無敗二冠制覇か!? 牝馬Vか!? すべてのホースマンたちの夢を叶えるのは

AI要約

日本ダービーは競馬界の至宝とされ、未完成な3歳馬にとっての大試練である。歴代のダービー馬たちの栄光と人馬の絆について振り返る。

キズナやアイネスフウジンの勝利の栄光、父ディープインパクトを彷彿とさせる末脚やナカノコールなど、ダービーの名場面が語り継がれている。

今年の注目馬、ジャスティンミラノは皐月賞馬として無敗のままダービーを目指し、共同通信杯の勝利や藤岡康太の影響など魅力的なストーリーを持つ。

【日本ダービー みどころ】無敗二冠制覇か!? 牝馬Vか!? すべてのホースマンたちの夢を叶えるのは

「すべてのホースマンの夢」――競馬の世界にいる者ならば、誰もが勝ちたいレースとして挙げるのが日本ダービー。

3歳の春という競走馬としてはまだ成長途上の時期に芝2400mを走るというのはいささか酷に感じるが、その試練を乗り越えた馬には競馬界の新たな主役になることが約束される。

例えば、2013年のダービーを制したキズナ。

京都新聞杯で父ディープインパクトを彷彿とさせる末脚を繰り出して快勝し1番人気でこのレースを迎えると、直線では父以上に豪快な直線一気を決め、ゴール直前にエピファネイアを差し切った。キズナの圧倒的な末脚、そして父の背中を知る鞍上・武豊のコンビは大声援の中で迎え入れられた。

大声援と言えば、1990年のダービー馬、アイネスフウジンも忘れられない。

スタートから「勝つにはこれしかない」という覚悟の逃げを打つと、直線に立っても先頭に立って踏ん張り、メジロライアンらの追撃を封じて勝利。

ゴール後にスタンドからの退場を目指したアイネスフウジンと鞍上の中野栄治には19万6517人という大観衆の中からどこからともなく「ナ・カ・ノ! ナ・カ・ノ!!」と大歓声が沸き上がり、この光景は後に「ナカノコール」と称され、日本競馬史上に残る屈指の名場面である。

キズナ、アイネスフウジンをはじめ、歴代のダービー馬たちに共通するのは馬と人との絆の強さ。

3歳春という競走馬として未完成な時期だからこそ、1戦ごとに調教師や騎手、厩務員、スタッフから走り方を学んでいく。晴れの舞台でその成果を出すには人馬の間に強固な信頼関係が欠かせないのだ。

そんな人馬の絆を今年、最も感じさせるのは無敗の皐月賞馬、ジャスティンミラノだ。

マカヒキ、ワグネリアン、ドウデュースと現役最多となるダービー3勝を誇る友道康夫調教師の期待馬としてスタッフ総出でケアされてきた。

ジャスティンミラノはデビュー戦で番手なら流れに乗って抜け出すと、年明け緒戦の共同通信杯では早めに動いて2歳王者のジャンタルマンタルを破って重賞初制覇。

調教パートナーとして毎回のように追い切りに騎乗していた藤岡康太も共同通信杯前に「3歳の勢力図を変えるかも」と高い期待を寄せていた。

しかし皐月賞の4日前、藤岡康太は落馬事故の影響で35歳という短い生涯を閉じた。

ジャスティンミラノにとって欠かせない調教パートナーが欠けたことが皐月賞にどう影響するかが不安視されたが、その皐月賞で彼は最高の走りを見せて快勝。3戦無敗で皐月賞馬となった。

皐月賞のレース後、関係者たちは口々に「康太のおかげ」「康太に後押ししてもらった」と涙ながらに語ったあの日から1ヶ月半。今度は厩舎一丸となり、無敗の二冠制覇へ挑む。