カブス・今永昇太はなぜ“面白いように”空振りが取れる?「防御率0.84」快進撃の秘密を五十嵐亮太が解き明かす「下から浮き上がるイメージ」

AI要約

カブス・今永昇太の躍進が止まらない。メジャー9度目の先発となった5月18日のパイレーツ戦では7回を無失点で抑え、驚異的な防御率0.84を更新。

今永投手の投球スタイルはファーストボールを高めに投げ、変化球で低めを狙う戦術を貫いている。

カブス入団前から高めを意識し、メジャー打者を抑える為の戦略を練り上げてきた今永昇太。早い段階でプランを共有し、開幕から好成績を収めている。

カブス・今永昇太はなぜ“面白いように”空振りが取れる?「防御率0.84」快進撃の秘密を五十嵐亮太が解き明かす「下から浮き上がるイメージ」

 カブス・今永昇太の躍進が止まらない。メジャー9度目の先発となった5月18日(日本時間19日)のパイレーツ戦では7回を無失点に抑え、防御率は0.84と驚異的な数字を更新し続けている。ストレート(フォーシーム)の平均球速が150kmに満たない左腕はなぜ、メジャーリーグの打者を翻弄できるのか。NumberPREMIERの動画番組「Set Up Baseball」のホスト役でもお馴染みの五十嵐亮太氏が分析した。

 5勝0敗、メジャートップの防御率0.84という数字を残している今永投手。期待を上回る、と言っては失礼かもしれませんが、本当に素晴らしい活躍を見せています。

 彼のピッチングスタイル自体は、開幕から終始一貫しています。特徴をひとことで言えば「ファーストボールは高め。低めには絶対に投げない」ということ。高めのフォーシームで空振りやファウルを奪ってカウントを有利に進め、スプリット、スライダーなど低めの変化球を組み合わせていくピッチングを徹底しています。

 しかし、彼が元来「まっすぐ高め」で勝負するピッチャーだったか、というと決してそうではありません。ベイスターズ時代では見られなかったスタイルであり、メジャーの打者を抑えるために自分の特徴をどう活かすか、というところで見出したものだと言えます。

 僕は2月にカブスのキャンプで取材させてもらったのですが、実はその時点から徹底的に「高め」を意識してフォーシームを投げ込んでいましたし、このスタイルでメジャーに挑むということをはっきりイメージしていることがわかりました。おそらく、カブスのピッチングコーチやコーディネーターが彼の良さを最大限に引き出すプランを明示していたのだと思います。

 キャンプの時点でこうしたプランを立て、オープン戦の間に色々と試行錯誤して、開幕した時にはある程度それが出来上がっていた。もちろん、彼がそこに投げ切れるコントロールがあることが凄いのですが、こうした「抑えるための形」をチーム、スタッフ共に早い段階から共有していたことも、開幕から迷わず快進撃を続ける要因であるだろうと思います。