ドラフト9位から1億円プレーヤー 満塁弾浴びて進化のヒント得た「巨人の左腕」は

AI要約

巨人が広島戦で9回に一挙9得点を奪い逆転勝利し、優勝争いで大きな白星をつかむ。

投手陣の奮闘も目覚ましく、グリフィン、平内、泉が好投し、高梨のリリーフも光る。

高梨は変則のサイド左腕として一線級の実績を誇り、リーグ屈指のリリーバーとして活躍。

ドラフト9位から1億円プレーヤー 満塁弾浴びて進化のヒント得た「巨人の左腕」は

 今年のペナントレースを振り返ったとき、ターニングポイントの試合になるかもしれない。巨人が9月11日の広島戦(マツダ広島)で、2点差を追いかける9回に一挙9得点を奪う猛攻で逆転勝利。2位・広島を3ゲーム差に突き放し、3位・阪神もDeNAに敗れたため3.5差に。混戦の優勝争いで大きな白星をつかんだ。

 劇的な試合展開の中で、忘れてはいけないのが投手陣の奮闘だ。先発のグリフィンが6回2失点と踏ん張ると、7回に登板した平内龍太が三者凡退、8回は泉圭輔が二死から矢野雅哉に右中間に長打を浴びたが、内外野の中継プレーで三塁を狙った矢野を封殺した。平内、泉は共に防御率1点台をマーク。ビハインドの展開でも2人の投手をつぎ込めるのが、リリーバーの層の厚さを裏付けている。

 その救援陣に不可欠な存在が、高梨雄平だ。球の出どころが見づらい変則のサイド左腕は打者を抑える術を知っている。8月25日の中日戦(東京ドーム)で2点リードの8回一死の場面で菅野智之からバトンを受けると、いずれもスライダーで岡林勇希を三邪飛、村松開人を二ゴロに仕留めた。2017年に入団以来8年連続40試合以上登板を達成。今季は45試合登板で3勝2敗、チームトップの24ホールドで防御率2.25の好成績を残し、救援陣の「まとめ役」としてもナインの人望が厚い。

 高梨の野球人生はまさに「下克上」だ。ドラフト9位で楽天に入団し、新人の17年に46試合登板で防御率1.03をマーク。翌18年は自身最多の70試合に登板した。今年6月に週刊ベースボールのインタビューで、「プロに入ってきたときから『いつまでできるかな』という気持ちがずっとありました。『最短2年だな』という気持ちで入ってきて。やっぱりドラフト9位なんで、ダメだったらすぐクビになるじゃないですか、客観的に言って。もちろん今もその気持ちは持っているんですけど、そこに『何を残せるかな』という気持ちも追加されている感じですね」と語っている。

 20年のシーズン途中に高田萌生との交換トレードで巨人に移籍。44試合登板で1勝1敗2セーブ21ホールド、防御率1.93でリーグ連覇の原動力に。その後も救援陣の屋台骨を支え、今季の年俸は推定1億2000万円と誰もが認める一流のリリーバーだが、競争の激しい世界で結果を残さなければ一軍の座は保証されていない。昨年は55試合登板で2勝1敗23ホールドを挙げたが、防御率4.19は自己ワーストだった。

 シーズン終盤に被弾する場面が目立ち、今年の春季キャンプは二軍スタートに。開幕もファームで迎えたが、一軍昇格した4月9日のヤクルト戦(鹿児島)の今季初登板で結果を残す。1点リードの6回二死満塁のピンチでマウンドに上がると、「ここで(首脳陣の期待に)応えなかったら今年は終わりだなと思って投げた。全球勝負球でいった」と西川遥輝をスライダーで二ゴロに仕留めた。