「大地が引き出した瞬間、もう点決まったな」フィニッシュに至る絵が守田には見えた。“シャドー鎌田”を活かす3-4-2-1のメカニズム

AI要約

森保ジャパンはアウェーでバーレーンに5-0と快勝し、最終予選でのスタートダッシュに成功した。

守田英正が決めた得点がシステムの効果を示し、鎌田大地の適切な位置取りが攻撃を促進させた。

守田の2得点はチームの流れを変え、鎌田の動きが他選手のポテンシャルを引き出した。

「大地が引き出した瞬間、もう点決まったな」フィニッシュに至る絵が守田には見えた。“シャドー鎌田”を活かす3-4-2-1のメカニズム

 森保ジャパンはアウェーでバーレーンに5-0と快勝。ホームの中国戦(7-0)に続く大量得点で、最終予選におけるスタートダッシュに成功した。

 先制点となった上田綺世のPKも含めて、5点全て見どころのあるものだが、分析視点で振り返ると、守田英正が64分に決めた自身2つ目の得点、すなわちチームの4点目が、今回2試合続けて使った3-4-2-1というシステムの効果、そして久保建英と南野拓実を2シャドーに並べた中国戦とまた違う、鎌田大地を同ポジションで使う意味がよく表われているシーンだ。

「大地が外の脇に降りて来たりした時が、一番気持ち良くボールも回るし、それやってくれればやってくれるほど、ダブルボランチの一角が上がれる」

 守田がそう語る鎌田の効果について、紐解きたい。

 前半は4-4-2をベースとしながら、局面で厳しくマークしてくるバーレーンの守備、不規則なピッチに苦しみ、なかなかリズム良く相手陣内で攻撃できなかったが、ボランチの守田が左センターバックの町田浩樹の左脇に降りてビルドアップに参加したり、逆に左シャドーの鎌田がボランチ脇に引く代わりに、守田が前に出ていくなど、シャドーとボランチの動きを出すことで、飲水タイムの後あたりから徐々に、継続的にチャンスを作れるようになっていた。

 鎌田のクロスから相手のハンドでPKを獲得したシーンも、そうした流れから守田、遠藤航が前向きにボールを付ける形から生まれたものだ。そして後半になると、右サイドで投入された伊東純也の突破力を加えて、日本のゴールへの狙いは鮮明になってくる。

 

 守田によるチームの3点目は、右に流れていた鎌田を起点として、遠藤、守田と渡り、そこからFWの上田綺世に当てて左側から抜け出すという形だった。

 その3分後にもたらされた守田の2点目だが、バーレーンが5バック気味になっている状況で、右センターバックの板倉滉から中央の谷口彰悟にボールが出たところが、このシーンのスイッチになった。

 谷口の左前には町田浩がフリーになって構えていたが、谷口と町田が段差を作って生じているスペースのところに、左シャドーから鎌田が落ちてくる。その時点で守田は二列目の中央に上がっており、中盤のディフェンスを引き付けるような役割をしていた。

 日本の前線は左外に三笘薫、中央に上田、その少し右にシャドーの南野がいて、右外に伊東という配置を取っており、4枚が相手のディフェンスラインに張り付くようになっていた。この状況で谷口は板倉から来たボールをその場でコントロールせずに、ダイレクトで速い縦パスを鎌田に付けている。

 守田はこの時点で「大地があれを引き出した瞬間に、もう点決まったな」と思ったという。つまりはゴールからの逆算で、自分のフィニッシュに至る絵が守田には見えたのだ。