「もう、無理だ…」井上尚弥のエグいボディで“ドヘニーの心が折れた”決定的瞬間…カメラマンの予感「7、8ラウンドで終わる」“あの結末”の真相

AI要約

9月3日に有明アリーナで行われたスーパーバンタム級4団体統一戦は、井上尚弥とTJ・ドヘニーの試合が7ラウンド16秒で終了し、ドヘニーが腰を痛めて棄権した。

ドヘニーは井上との対戦を望んでおり、試合前後の感情の起伏が激しいタイプだった。過去にも井上に対して意識を高めていた。

ドヘニーの公開練習では左アッパーが印象的で、試合では前半の出力が強力だった。井上はそれにどう対応するかが注目された。

「もう、無理だ…」井上尚弥のエグいボディで“ドヘニーの心が折れた”決定的瞬間…カメラマンの予感「7、8ラウンドで終わる」“あの結末”の真相

9月3日に有明アリーナで行われたスーパーバンタム級4団体統一戦。日本が世界に誇る“モンスター”井上尚弥と元IBF王者TJ・ドヘニーの一戦は、7ラウンド16秒、腰を痛めたドヘニーの“まさかの棄権”によって幕を閉じた。この試合をリングサイドで撮影した世界的カメラマンは、両者の攻防から何を感じ取ったのか。全米ボクシング記者協会の最優秀写真賞を4度受賞し、“パンチを予見する男”と称される福田直樹氏が、井上尚弥を追い続けたドヘニーの「心が折れた瞬間」を振り返る。

 ドヘニー選手については試合前からいくつか印象的なエピソードがあって、そのひとつが5月の東京ドームの前日計量です。あの日、彼はルイス・ネリが計量をパスできなかった場合に井上選手と対戦するリザーバーとして控えていましたよね。ただ、ネリが計量をクリアしたことで井上選手との対戦がなくなって、ものすごく機嫌が悪かった。予定していたスタジオ撮影も5分の1くらいの時間で切り上げてしまって……。そのときに撮った写真が今回の試合のポスターに使われましたが、あのしかめっ面は作ったものではなく“リアルな怒りの表情”だったんです。

 それでも、いざ翌日の試合でTKO勝ちするとウソみたいに機嫌がよくなって(笑)。試合後にこちらに寄ってきてグータッチまでしてくれました。おそらく試合前後の感情の起伏が激しいタイプで、すごく面白いキャラクターだなと感じましたね。それに、本気で「井上尚弥と戦いたい」という気持ちを持っていた。

 2019年5月、WBSSの準決勝で井上選手がグラスゴーのリングに立ったとき(エマヌエル・ロドリゲス戦)、じつはドヘニー選手もリングサイド席にいて、井上選手の入場をスマートフォンのカメラで撮影していました。8月24日の公開練習の際に、本人が「あのときから井上尚弥を意識しはじめた」と話していました。そこから5年かけて試合が実現したわけですから、生半可な思いではなかったはずだと想像できます。

 公開練習もシャドーだけでかなりの迫力がありました。特に左アッパーがものすごくよかった。本番ではなかなか出せませんでしたが、撮影していて「怖いパンチだな」と感じましたね。体格的なアドバンテージもありますし、個人的には「ドヘニーは前に出ていくんじゃないか」と予想していました。打ち合い覚悟で前に出ながら、ジャフェスリー・ラミド戦(2023年10月)のように左の一発を狙うイメージですね。中嶋一輝戦(2023年6月)でも唸り声をあげてパンチを打っていましたが、ドヘニー選手は前半の出力がすごい。井上選手がそれをどうさばいていくのか、というイメージで撮影に臨みました。