中日は現実から逃げるな…今季未勝利だった甲子園はここ5年でも9勝 “嫌い”の理由解きほぐし“好き”に変えよ

AI要約

ドラゴンズナインは未勝利のままシーズンを終え、甲子園での敗戦に深い反省を示す。投手のパフォーマンスの低下や屋外球場での苦戦を分析し、改善に向けて取り組む姿勢を示す。

福留孝介さんの言葉から、甲子園での試合を恐れず挑む姿勢や愛着を感じる。未勝利を克服するためには「嫌い」の理由を克服し、「好き」へと変えていく必要がある。

中日は現実から逃げるな…今季未勝利だった甲子園はここ5年でも9勝 “嫌い”の理由解きほぐし“好き”に変えよ

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って

◇5日 阪神2―1中日(甲子園)

 シーズン全11試合を戦い終えて、ドラゴンズナインは外野芝生に整列した。左翼席に陣取った竜党に一礼した。声援への感謝、それ以上に未勝利へのざんげ…。記者席にいた僕からは、誰よりも深く頭を下げる背番号73が小さく見えた。

 甲子園に来たら防御率が悪化すると書いた。得点力も低下する。どれも見過ごせない数値だが、本当に大切なのは「なぜ」だ。偶然のはずがない。ここ5年で9勝42敗2分け。突然の災害ではなく、予兆はあった。長年の課題であり、警告音は鳴っていたのだ。

 悔しい、情けないなんて感情は数日で消える。僕は現実と向き合うことが第一歩だと思っている。「なぜ」投手のパフォーマンスは低下するのか。今はトラッキングシステムで詳細なデータが出る。ドーム球場と比べて、回転数やホップ成分は誰が、どれくらい落ちているかを洗い出す。

 「なぜ」の次は「何が」を聞き取る。例えば先発の大野は5イニング2失点と何とか踏ん張ったが、甲子園に限らず屋外球場では11連敗。何が嫌なのか。暑さや風、野手の守備なら土や天然芝が苦手だというならナゴヤ球場をもっと練習で活用すればいい。「なぜ」をあぶり出し、悪化している部分を改善する。「何が」を明確にして対処法を検討する。あるいは「やっています」かもしれないが、そうだとすれば足りないか間違っているのだ。

 「なぜ」と「何が」を突き詰めた先には「好き」がある。この日、ラジオ解説していた福留孝介さんは、高校時代に大活躍した甲子園で、プロでも385安打、39本塁打を放っている。もちろん阪神の選手としても大声援を浴びたことはわかっているが「中日時代も外野を守っていて(阪神の)応援している人とも会話してたし、ここで試合をするのを嫌だと思ったことはない」と言った。

未勝利は球団の黒歴史。もはや逃げることを許されぬ現実である。だからこそ「嫌い」の理由を解きほぐして「好き」へと変えるしかない。