1番に定着したDeNA・梶原昂希、「振るなら当てよう」脱力打法で開眼 「将来はトリプルスリーを狙える」コーチも太鼓判

AI要約

梶原昂希外野手(24)が3年目のシーズンで1番打者に定着し、技術向上の秘訣と九州での被災経験に触れる。

石井琢朗チーフ打撃兼走塁兼一塁ベースコーチの助言を受け、脱力打法を取り入れることで、安打数を伸ばしている。

九州での地震や台風などの災害を経験し、スポーツの力を感じている梶原は、プレーを通じて人々に勇気を与えたいと語る。

1番に定着したDeNA・梶原昂希、「振るなら当てよう」脱力打法で開眼 「将来はトリプルスリーを狙える」コーチも太鼓判

◇記者コラム「Free Talking」

 DeNAの3年目、梶原昂希外野手(24)が7月初めから1番打者に定着している。

 大分雄城台高校から神奈川大を経て2022年にドラフト6位で入団。身長189センチ、85キロ。ソフトバンク・柳田をほうふつする大型外野手として期待されたが、外角の縦の変化球に空振り三振を連発。1軍に定着できなかったが、球宴明けからボールを見極めて安打を量産している。

 「もともと変化球を拾うのは苦手じゃなかった。1軍クラスだと、キレも変わってくるのでその対応力が課題だった」

 5月の1カ月間、意識を変え技術力を上げた。「振るなら当てよう」。無駄な体の力を抜いて構え、スイングのときだけ力を出す脱力打法。「力が入ると(体を)柔らかく使えなくなる」と石井琢朗チーフ打撃兼走塁兼一塁ベースコーチから助言を受けている。

 石井コーチは「将来はトリプルスリー(3割、30本塁打、30盗塁)を狙える。落ちる球を打てるようになったのは柔らかさが出たから。当たれば何かが起こる」とエールを送る。当てにいくことで打撃が小さくなる危険もあるが、あえて「三振しないように」と厳命。実際、8月10日からの6試合でマルチ安打は5試合。梶原自身も成長に驚く。

 9日のヤクルト戦(横浜)。試合中に地震があると、故郷・大分がある九州の安全を祈る言葉をよどみなく語ってくれて驚いた。理由があった。

 「九州は台風・地震も多い。(2016年の)熊本地震で、実家も揺れた。台風や豪雨で祖父母の大分の農家も川が氾濫して畑が水没したり、ビニールハウスが倒壊したこともあった」。身近で被害を目にしスポーツの意義を常に考えていた。

 「スポーツは元気づけたり勇気づけられる。努力している姿を見せ前向きに取り組んでいこうという気持ちにもできる。いつ見てもらっても『自分たちも頑張ろう』と思ってもらえるようなプレー。ひたむきな姿を見せていきたい」。熱く語る姿、その心が技術向上の源になっていると確信した。(DeNA担当・後藤慎一)