智辯学園・1年生投手が投げ込んだ「全力」「勇気あふれる」35球に見えた大器の片鱗【夏の甲子園ピカイチ選手・準々決勝】

AI要約

甲子園デビューを果たした1年生左腕が準々決勝で力投し、勇気を示した。

130キロ台中盤の速球と切れのあるスライダーが持ち味で、将来の目標は145キロを目指す。

チームは敗れたものの、杉本投手の35球は大きな意味を持つものとなった。

智辯学園・1年生投手が投げ込んだ「全力」「勇気あふれる」35球に見えた大器の片鱗【夏の甲子園ピカイチ選手・準々決勝】

 第106回全国高校野球選手権(阪神甲子園球場)の準々決勝が行われた19日、大会12日目にして甲子園デビューを飾った左腕がいた。

 京都国際(京都)との準々決勝で、智辯学園(奈良)の先発マウンドに上がったのは、1年生の杉本 真滉投手だった。この夏、奈良大会でも1試合もマウンドに上がることがなかった左腕が、大舞台の勝負の試合で初登板を言い渡された。

 周囲の心配をよそに、初回から全力投球で自分の力を存分に発揮した。1回は味方の好守備に助けられながらも1安打無失点。2回も二塁打を打たれながら、後続を抑えて、2回まで無失点に抑えた。3回は自らの失策もあり無死二、三塁のピンチを招き、1死を取ったところで降板。2回途中、打者10人と、短い登板ではあったが、立派なデビューマウンドだった。

 130キロ台中盤の速球には切れがあった。スライダーも低めへ、よく決まっていた。何より、右打者の内角へズバッと直球を投げ込む「勇気」があった。そして、その技術もあった。

「先発は3回戦が終わってすぐに言われて、準備をしてきました。甲子園のマウンドは良い経験になった。自分はあと2年あるので、この悔しさをバネにしていきたい。智辯学園には佐坂さんに憧れて入学した。西村 王雅さん(21年夏準優勝のエース)のような投手になっていきたい。目標は145キロです」

 山崎 光留捕手(3年)は「甲子園の初マウンドでも堂々と投げてくれた。ストレートの強さは彼の持ち味」と1年生左腕をねぎらった。

 小坂監督も「杉本の持ち味は物怖じせず投げられるところ。その点を買って先発させましたが、よく投げてくれたと思います。彼は西村王雅を超える素質を持っている。それができるよう、しっかりと鍛え込んでいきます」と健闘を称えた。

 杉本の1年夏に投じた球数はわずか35球。チームは敗れて甲子園を去ったが、杉本自身にとっては、とてつもなく大きな「35球」になることは間違いない。