“急造タッグ”田淵大賀キャディが大仕事 松山英樹の10勝目支え「毎日寝られなかった」

AI要約

松山英樹が節目の10勝目を飾るために、急きょ別のキャディとタッグを組んだことが明らかになった。

松山は17番での8メートルのパットを決めて優勝を決め、田淵キャディとのコンビネーションも功を奏した。

田淵氏は松山のプレーを称賛し、今後もこの経験を活かす意向を示している。

“急造タッグ”田淵大賀キャディが大仕事 松山英樹の10勝目支え「毎日寝られなかった」

<フェデックス・セントジュード招待 最終日◇18日◇TPC サウスウィンド(米国)◇7243ヤード・パー70>

節目の10勝目を飾った松山英樹のバッグを担いだのは、“いつもの”早藤将太キャディではなく、田淵大賀氏だった。普段は久常涼のキャディを務める田淵氏だが、松山に起こったトラブルによって急きょタッグを組んだ。

「パリ五輪」で銅メダルを獲得後に滞在したロンドンで、松山の財布、早藤キャディと黒宮幹仁コーチのパスポートが盗難被害に遭った。早藤キャディと黒宮コーチは一時帰国し、チームがバラバラの状態で米国入りを余儀なくされた。そして年間王者がかかる舞台の初戦を、田淵キャディとの急造タッグで戦うことになった。

ウイニングパットを沈めると、ふたりはガッチリと握手。頭を下げる田淵氏の肩を抱き寄せ、笑顔で短いハグをかわした。

「本当に松山さんに感謝です。何もできないので、一番近くでギャラリーをさせてもらっていたという感じです」と謙虚に振り返った田淵キャディ。タッグが決まってから「毎日寝られなかった」と緊張しきりの1週間で、「きょうも寝られなかったです」と苦笑い。そしてやっと、肩の力を抜いた。

5打リードで最終日を迎えたが、一時は首位から陥落した。だが、17番で8メートルを決めて単独首位にカムバック。優勝をたぐり寄せたバーディパットだったが、「ラインが分からなかったです。松山さんが『真っすぐかなあ』と言ったので、『真っすぐ』と言ったら入りました」。大台10勝目を引き寄せた場面の裏話を明かした。

日本のエースの隣で1週間を過ごし、そのすごさを肌で感じた。「全部すごかったです。非の打ちどころがない。ショットもうまいし、ゴルフ脳ももちろんすごい。ここ(PGAツアー)で10年以上やられていて経験もあって、コースも全部分かっている。自分は横を歩いていただけ。申し訳ないですけど、優勝させてもらいました」。そうは言いながらも、表情は誇らしげだった。

来週は早藤氏が戻ってこられる見込み。大仕事をやってのけた松山・田淵コンビは、この1試合で“解散”となる。「(今後)PGAツアーに出る選手に、この経験を伝えていきたい」。田淵キャディにとっても、価値ある1勝となった。