守備につく球児、数秒間の一礼に込めた思い 小さな行動が押す背中

AI要約

全ての代表校が甲子園で試合を経験した第7日。選手たちは守備位置につくたびに帽子を取って一礼し、試合外でも感謝の意を示す。

長野日大の田村快斗や札幌日大の林佑樹など、選手たちの一礼にはそれぞれの思いが込められている。記者がその様子を見ている中、選手たちは大舞台に立つための精神的支えを求めている様子がうかがえる。

練習に励んだ選手たちの不安を少しでも和らげ、最後まで全力でプレーするために一礼を続ける選手たち。その小さな行動が、彼らの背中を押している。

守備につく球児、数秒間の一礼に込めた思い 小さな行動が押す背中

 第7日を終え、全ての代表校が甲子園で試合を経験した。天然芝が映える広い外野を見ていると、守備位置につくたびに帽子を取って一礼する選手たちがいる。

 第7日の第1試合に出場した長野日大の中堅手・田村快斗は数秒間、立ち止まって頭を下げる。「試合に出られない仲間のサポートへの感謝もあるし、緊張しやすい自分の心を落ち着かせる時間にするため」と語る。

 見せ場はいきなりあった。一回、相手4番の痛烈なライナーに前進し、滑り込んで好捕した。試合には敗れたが、「相手の打球方向のデータを出してくれた分析班のおかげ」とし、赤くなった目で、「あの一礼で最初から冷静に試合に臨めたかな」。

 第2日に試合をした札幌日大(南北海道)の右翼手、林佑樹は中学時代から一礼を続けるという。「ポジションの神様が助けてくれれば」という思いを込めてきた。京都国際打線の強烈な打球が何度も飛んできたが、ミスはなかった。「全部グラブに入ってくれた。甲子園でも継続してきてよかった」と涙をふいた。

 他に一礼していた選手もいて、思いは様々だ。「何かにつながれば」という声が多かった。全力で練習に取り組んできた自信はあっても、不安はつきない。だからこそ、最後は何かに頼りたい。その小さな行動が、大舞台に立つ選手たちの背中を押している。(室田賢)