甲子園名物「アゲホイ」に続け 報徳学園の「あまちゃん」応援

AI要約

報徳学園が新型コロナ禍でも盛り上がる応援活動を展開

応援席で「あまちゃん」テーマソングに合わせた即興パフォーマンスが話題

報徳学園の全員野球の一環として続く力強い応援文化

甲子園名物「アゲホイ」に続け 報徳学園の「あまちゃん」応援

 「アゲアゲホイホイ、もっと、もっと」――。陽気なサンバのリズムと地鳴りのような声に誘われ、観客もつられて体を動かす。夏の甲子園に6年ぶり16回目の出場を決めた報徳学園(兵庫)の名物応援だ。甲子園の地元から全国にこの「アゲホイ旋風」が巻き起こったが、今夏注目すべきは「あまちゃん」応援だ。

 NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」(2013年)のテーマソングに合わせ、応援席の1人が中央前方に立つ。即興で一発芸を披露すると、他の応援団員らも息ぴったりに同じ動作を繰り返す。

 コミカルだが一糸乱れぬ姿が話題を呼び、SNS(ネット交流サービス)で拡散された。動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」に投稿された動画は約30万回再生、1万超えの「いいね」を獲得している。

 ◇前応援団長が発案

 発案したのは、前応援団長の大崎元輝さん(19)だ。新型コロナウイルス禍で声を出しての応援ができない中でも盛り上げたいと、22年秋の県大会から始めた。

 最初は1人で振り付けを踊る程度だったが、次第に団員を指名してアドリブで一発芸のような動作をするように。「狙ったわけでもなく、ノリで自然とそうなっていった」という。

 お笑いコンビ・バンビーノの「ダンソン」のような動作や、両手両足をコミカルに動かす動作などを繰り返す。即興とは思えないほど息ぴったり。「ほんまにアドリブ。恥ずかしさを捨てて、楽しみながら全力で選手を応援する気持ちでやっていた」と振り返る。

 ◇「恥ずかしいけど楽しい」

 後を継いだ2人の現応援団長、小川太志さん(3年)と南翔天さん(同)は「恥ずかしいけど楽しい。先輩から受け継いだものを大切にしていきたい」。

 報徳学園野球部は部員約140人の大所帯。応援団は出場メンバー外の約120人で構成する。

 南さんは小学3年生から野球を始めた。高いレベルを目指して地元・愛知を離れ、報徳学園に。中学時代はチームの主力として活躍していただけに、メンバーから外れ応援団長になった時は「悔しさもあった」という。だがすぐに「メンバーを全力で応援して貢献したい」と切り替えた。2人は「大変なこともあるが、みんなついてきてくれている」とはにかむ。

 春夏連続出場は17年ぶり。南さんは「春は2回とも準優勝で悔しかった。この夏は日本一を取れるよう、優勝にふさわしい応援をしたい」と意気込む。

 アドリブの一発芸を一体となって表現する「あまちゃん」応援は、報徳学園が掲げる「全員野球」のたまものだ。「アゲアゲホイホイ」に続き、応援団に脈々と引き継がれる力のこもった応援が、もっともっと聖地を盛り上げる。【木山友里亜】