【レスリング】樋口黎「インド選手の気持ち痛いほど分かる」東京で計量失敗…ビネシュへ思い語る

AI要約

樋口黎が男子フリースタイル57キロ級で金メダルを獲得し、リーを破る

樋口は失格経験を克服し、アジア予選で失格したインドの選手に思いを馳せる

減量や脱水をしながらも、樋口は最後まで自身の力を出し切り、金メダルを手にした

<パリオリンピック(五輪):レスリング>◇9日(日本時間10日)◇男子フリースタイル57キロ級決勝◇シャンドマルス・アリーナ

 男子フリースタイル57キロ級の樋口黎(28=ミキハウス)が悲願の金メダルを手にした。強敵スペンサーリチャード・リー(米国)を4-2で破った。

 東京五輪はアジア予選でまさかの計量失格を経験。今大会、女子50キロ級1回戦で須崎優衣を破り、決勝当日の計量で体重超過により失格となったビネシュ(インド)への思いを語った。

 一問一答は以下の通り。

 -金メダルを獲得して

 「コーチであったり、監督であったり、仲間であったり、レスリングに携わって、僕を応援してくれた方々がいたおかげで取れた金メダルだと思っている。日本のレスリングの思いを背負ってこのマットに立ったので、金メダルを取ることができて、日本のレスリングのフリースタイルが世界一だということを証明できてほっとしています」

 -相手に疲れが出た

 「前半ものすごく力が強くて、前半残り30秒ぐらいでちょっとずつバテてきてるのが分かっていた。リーもスタミナがすごくある選手で、バテてる試合を見たことがなかったんですけど、僕も練習量で絶対にスタミナで負けないって思っていたので。最後の最後、紙一重で自分の底力を出せて良かった」

 -今回の減量について

 「6月に2キロオーバーの試合があったんですけど、そこからあんまり戻しすぎないように維持した。1か月半で残り60キロぐらいまでは脂肪で削って、残り3キロ脱水でやりきれた感じ。(今大会)計量の前日も午前練習が終わって残り1.5キロとかあったので『やべえ』と思いながら。『全然余裕です』とは言ってたんですけど。死ぬ気でサウナ入って脱水する準備して。試合自体は、脱水してもしっかり動くことができて、高いパフォーマンスを出せたかなと」

 -サウナには何時間

 「試合の前日は2時間。ずっと入りっぱなしじゃないですけど。10分入って、10分出て動いて、10分入って、を2時間ぐらい繰り返した」

 -昨日から今日にかけて

 「2日目の方がやっぱ1回脱水してる分、飲んで動いてるので、試合終わって残り2キロあったんですけど、外をひたすらパートナーと一緒に1時間走って、残り500(グラム)まで落ちて、そのまま寝てクリアできたので良かった」

 -減量に苦しむ選手もいる

 「須崎選手に勝ったインドの(ビネシュ)選手の気持ちっていうのは僕が一番痛いほど分かる。僕も東京の時の失敗で挫折や絶望をすごく味わった。スポーツだけではなくて、仕事であったり、勉強であったり、人間関係であったり、いろんな挫折や絶望を味わうと思うんですけど、そこからいかにして立ち直るか、次の目標に向かうかで、ものすごく成長できるか否かが決まると思っている」

 -(日体大同期の)文田(健一郎)が金を取った

 「いやもう初日、2日目に取りやがって…ものすごく仲がいい同期なので、ちょっと口が悪くなっちゃうんですけど。ウィーっていう感じでやってて、僕は絶対彼のメダルを触らないと自分の試合が来るまで決めてたので、近づきもしなかったんですけど。彼は(準決勝で戦ったジョラマン・)シャルシェンベコフが1番のライバルだって言ってますけど、僕は彼(文田)が1番のライバルだと思っていて。全中(全国中学校体育大会)で彼が優勝するのを同じ階級で見てて悔しい思いもあったので。健一郎にだけは絶対負けない、彼より素晴らしい試合の内容で勝ってやると決めてた。今回は引き分けということで許してやろうかなと思います」