“132年”越しに叶った初の英プロリーグ入り 「信じられない」…地元が沸く小規模クラブの物語【現地発コラム】

AI要約

イングランドのサッカー界では、プレミアリーグクラブの夏の海外遠征が一般化し、下部リーグの地元対決が減少している。

プレミアリーグクラブの多くが外国資本の影響を受け、シーズン本番でも国外開催が検討されている。

しかし、小さな地元クラブの成功も大きな話題となり、昨年はルートン、今年はブロムリーが躍進している。

“132年”越しに叶った初の英プロリーグ入り 「信じられない」…地元が沸く小規模クラブの物語【現地発コラム】

 近年のイングランドでは、サッカー好きの庶民が淋しさを覚える夏が続いている。プレシーズンは、プレミアリーグ勢の海外遠征が当たり前。今年は、リーグ1(3部)に昇格したばかりながら、ハリウッド俳優をオーナーとするレクサムが、2年連続のアメリカ遠征でボーンマスやチェルシーと対戦してもいる。下部リーグ勢の支援も兼ねた地元対決が一般的だったプレシーズンは、過去のものとなりつつある。

 となれば、次はシーズン本番のプレミア国外開催の可能性。買収対象のエバートンを含めれば、半数の10クラブが“米ドル注入中”となる国内トップリーグでは、会合でのリーグ戦アメリカ開催承認が「時間の問題」とも言われる。

 もっとも、この国のサッカーはプレミアだけの世界ではない。小さな地元クラブによる大きな成功が、党派を超えて人々に喜びと希望を与えもする。昨年は、ノンリーグ(セミプロ)転落も経験したルートンが、32年ぶりにトップリーグに返り咲いた。

 そして今年は、ブロムリーがクラブ史上初のフットボールリーグ(現2~4部)入り。ウェンブリー・スタジアムでのプレーオフ決勝PK戦勝利は、全国規模のニュースとして報じられた。

 日本人には、地名としてもクラブ名としても聞きなれない名前だろう。ロンドン中心部から郊外南東部へと急行列車で20分弱の町だが、筆者もつい最近まで訪れたことはなかった。

 クラブの存在は、数年前に観た「ザ・ブロムリー・ボーイズ」(公開2018年)という映画を通して知っていた。1969-70シーズンを背景に、ワールドカップ優勝の余韻が残る国内で「最悪」と呼ばれた地元チームにぞっこんの少年ファンを主人公とする、実話に基づくスポーツコメディだ。

 海外のプレミアファンに言わせれば、たかがリーグ2(4部)昇格ということになるのかもしれない。しかし、ノンリーグとプロリーグを隔てる壁は高く厚い。その壁を、プレミアで言えばリバプールと同じ年に創設されたブロムリーが、132シーズン目にして打ち破ったのだ。