合格率“0.8%”人生を捧げないと手に入らない「剣道八段」取得の68歳剣士 苦節22年…夫婦の絆でつかんだ栄誉

AI要約

22年間の挑戦を経て、愛媛の男性が剣道の国内最難関とされる八段に合格した。夫婦二人三脚で段位をつかみ取った快挙だ。

剣道の段位は初段から八段まであり、八段取得までには条件が厳しく、合格率が非常に低い。

渡部さんは22年間の挑戦を経て、技術だけでなく精神力や礼儀作法も厳しく評価される八段の審査に合格し、ついに目標を達成した。

合格率“0.8%”人生を捧げないと手に入らない「剣道八段」取得の68歳剣士 苦節22年…夫婦の絆でつかんだ栄誉

日本の伝統的な武道「剣道」。その「国内最難関」の審査に22年間挑み続け、ついに合格率1%以下とされる「八段」に合格した男性が愛媛・松山にいる。夫婦二人三脚でつかみ取った段位だ。

長年、高校剣道の強豪である新田高校で監督を務めた渡部憲雄さん(68)は、2024年5月に京都で行われた昇段審査で、最高段位とされる八段に合格した。審査を受け始めてから22年目の快挙だった。

渡部さんは「剣道で育ててもろたんで、剣道で恩返しするためにも八段合格してよかったかなと。立ち合いの練習とか色々、指導もしてもらいましたし、いろんな剣友のおかげで(審査に)通ったと思います」と感謝の気持ちを語った。

剣道の段位は初段から八段まであり、六段や七段で合格率は1割から2割。八段になると一気に減り、合格率0.8%の狭き門だ。

八段は、七段を取得したあと10年間の修行期間と46歳以上の年齢という2つの条件をクリアしてはじめて審査に挑戦する資格が与えられる。

そのため八段を取得するには初段の取得後、早くても30年はかかり、まさに人生を剣道に捧げることで手に入れることができる段位とされている。

長年、剣の道を歩み続けてきた明倫会会長の遠藤寛弘八段は渡部さんについて「中央大学まで一緒に剣道をした剣友です」と語った。

46歳の初挑戦から22年もの間、渡部さんは八段昇段の高い壁に跳ね返され続けた。

剣道八段の審査は技術だけでなく精神力や礼儀作法も厳しく評価されるため、非常に難関とされる。

2024年3月に長年勤めた新田高校を退職したあとは、愛媛県警察のOBなどでつくる「明倫会」で日々稽古に取り組んでいた。

渡部さんは「大学の先輩に最後まで諦めるなと言われたのもあるし、教員として生徒に努力せいと言って追い込んどるのに自分は逃げるわけにはいかないんで」と語った。

今回、特に練習で磨いたのは切り返し面。相手の面を連続して打つ技術で剣道の基本技の一つだ。毎日の朝稽古で2セットを繰り返し、相手に攻められても姿勢を崩さずに堂々と自分の技を出せるようになった。

明倫会の永井良典六段は「激しさの中にも、相手を引き込むような誘い込むような剣風に変わられたんじゃなかろうか」と評する。

稽古の成果は審査の当日にも花開いた。相手が技を出そうとしたところを面!相手が面を打つところを返して胴!技がきれいに決まり、22年目に及ぶ挑戦はようやく実を結んだ。

全国で889人が受け、合格したのは渡部さんを含めわずか6人だ。