双子出産、22キロの減量、シード喪失… アン・ソンジュが日本ツアーに復帰するまでの5年 「日本には感謝の気持ちがいっぱい」

AI要約

韓国の女子プロゴルファー、アン・ソンジュが日本ツアーに5年ぶりに参戦。子育てとゴルフの両立に奮闘しながら、日本ツアーでの出場を楽しみにしている。

JLPGAの産休制度を利用していたが、シード権の更新期限を誤り、推薦での出場となった経緯がある。しかし、アンは日本ツアーへの感謝の気持ちから、出場機会を探し続けている。

アンはシード権を獲得するために3試合で2勝する必要があるが、自身はその達成は難しいと考えているものの、挑戦する意思を示している。

双子出産、22キロの減量、シード喪失… アン・ソンジュが日本ツアーに復帰するまでの5年 「日本には感謝の気持ちがいっぱい」

◆国内女子プロゴルフ

北海道meijiカップ 8月2~4日 札幌国際カントリークラブ 島松コース(北海道) 6568ヤード・パー72

 国内ツアー28勝で、賞金女王に4度輝いているアン・ソンジュ(韓国)が、2019年の最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」以来、5年ぶりに日本ツアーに出場する。20年から、永久シードの資格を持つ韓国ツアーを主戦場をにしていたため、久しぶりの日本に「すごくドキドキワクワクって感じ」と高揚感を隠せない様子だ。

 一方で、21年4月下旬には母国で男児と女児の双子を出産し、いまは子育てとゴルフの両立で忙しい日々を送っているといい、「こんなこと言っちゃダメかもしれないですけど、韓国から離れて気分的にすごくうれしくて、家から離れて自由だなって感じ」と奮闘する母としての本音もこぼした。

 JLPGAが定める産休制度を利用し韓国へ帰国したため、シード権を保持したまま復帰予定だったが、今回推薦での出場になったのには訳があった。

 JLPGAのツアー規定では、「出産日から起算して36カ月が経過するまで(アンの場合は24年4月下旬まで)の間を限度として産休が認められ、復帰年において、JLPGAツアー規定第14条第1項第5号に定めるシード権の出場資格に従い、復帰年度中、JLPGAツアーの競技に出場できる」はずだったが、アン自身が復帰するための申請期限を具体的に把握できていなかった。

 そもそも、「子どもが双子だったこともあり早めに産んで、病院でけっこう長く入院していたんです。だからそれがちょっと心配で、2歳まではそばにいたいと思っていた」と日本ツアーへの復帰を悩んでいた時期もあったようだ。だが、韓国で子育てをしながら、本格的に日本ツアーに参戦するのは現実的ではないと理解しつつも「1カ月に1回くらいは日本ツアーに出たかった」と常に気持ちは揺れ動いていた。

 アンは「(期限の話は今年の)2月くらいに聞いていたから、どうしようと思っていて、産休(からの復帰)の申請をどの時点で終わらせればいいのかっていうのが分からなかったから、その期間が過ぎちゃって、自分のシードが無くなったって話をLPGAから聞いたんです。 自分が日本ツアーのルールもちゃんと分からなかったのもあるし、それはしょうがないなと思っていた」と説明する。

 それでもそのまま“フェードアウト”することはしなかった。「日本には感謝の気持ちがいっぱいあるから、挨拶はちゃんとしに行かないといけないと思っていた。もし推薦で出られれば何の試合でもいいから」と出場の機会を探っていたが、今度は「(韓国ツアーの)前半の最後の頃にケガしちゃって。日本ツアーに出て、悪い姿を見せたくないから、リハビリじゃないんですけど、ちゃんと治ってから行ったほうがいいんじゃないかなと思って」とケガの影響で当初もくろんでいた5~6月の出場もかなわなかった。なんでも「子どもと遊んでいて滑っちゃって、それで腰を痛めてしまった」という。「今はその時よりはだいぶ良くなった」といい、「北海道は涼しいから、ちょうどよく推薦いただいて、本当にありがたい気持ちです」と今日に至る。

 永久シードまであと2勝に迫っていたことを考えると、シード喪失のダメージは大きい。今週のほかに推薦で出場する予定の次戦「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」と、10月「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」の3戦で2勝してしまえば……。それには「それは無理だと思います」と即答しつつも、「正直その運があって、もしこの3試合で優勝ができればまたシード権が獲れるじゃないですか。だから無理だと自分は思ってるんですけど、もしできれば本当にがんばっていきたいなという気持ちはあります」と1勝であればまんざらでもなさそうだ。