「すごく嬉しいんです」決勝点の瞬間、小久保玲央ブライアンが真っ先に駆け寄ったのは得点者ではなく...。佐藤恵允との“熱いハグ”の意味【パリ五輪】

AI要約

U-23日本代表がU-23イスラエル代表に1-0で勝利し、56年ぶりのメダル獲得に期待が高まる。

得点を決めた佐藤恵允が苦しみを共有した仲間たちから祝福される場面が感動的であった。

チームメイトとの一体感が強く、選手が結果を出せばチーム全体が喜ぶ様子が伝わってくる。

「すごく嬉しいんです」決勝点の瞬間、小久保玲央ブライアンが真っ先に駆け寄ったのは得点者ではなく...。佐藤恵允との“熱いハグ”の意味【パリ五輪】

 苦しみを間近で見ていたからこそ、真っ先に祝福したかったのだろう――。

 U-23日本代表は現地7月30日、パリ五輪グループステージ第3戦でU-23イスラエル代表とスタッド・ドゥ・ラ・ボージョワール(フランス・ナント)で対戦し、1-0で勝利。決勝弾は終了間際だった。

 90+1分、速攻から藤田譲瑠チマが斜め前にスルーパスを供給すると、これに反応した佐藤恵允がペナルティエリア右からダイレクトで折り返す。最後はゴール前でフリーとなっていた細谷真大が丁寧に合わせてゴール右に流し込んだ。

 得点の瞬間、自陣から飛び出したGK小久保玲央ブライアンが真っ先に駆け寄ったのは、得点者の細谷ではなく、アシストした佐藤だった。

 それは今年4月のパリ五輪最終予選を兼ねたU-23アジアカップでも結果を求められながら無得点に終わるなど、苦しんでいた佐藤の姿を見ていたから。小久保は「恵允がこうやって結果を残してくれたことがすごく嬉しいんで、喜びにいきました」と明かす。

「アジアカップでも彼のそばにいましたけど、なかなか結果が出せないところで、彼の周りに起こるものは自分は見てきましたし、ああやって恵允が残すってのはすごく嬉しいんです。

 ボールを持った瞬間、もうあいつに出したいんですよ。パントキックとかも。あいつなら結果を残してくれると思って、だから恵允が結果を残してくれて良かった」

 長い距離を走り、佐藤のもとに駆け寄った小久保は熱いハグ。長い時間、2人で抱き合っていたが、佐藤にそのことを訊くと照れくさそうにこう話した。

「なかなか、僕が結果を出せないなかだったので、いままでのアジアカップも含めて。そういう意味でブライアンも祝福してくれたのかなと思います。びっくりしましたよ(笑)。もう後ろ見たらデカいのが来たので、本当は水飲みたかったんですけど、ずっと抱きつかれて、ちょっとブライアンやめてくれって思いながら」

 またゴールを決めた細谷も「今日、彼(佐藤)にアシストをつけられたってことは嬉しいですし、次は自分がアシストできるように頑張りたい」と語る。

 チームメイトと苦しみを共有し、その選手が結果を出せば自分のことのように喜ぶ。これほどまでに一体感のあるチームは強い。56年ぶりのメダル獲得により一層、期待が高まる。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)