今のサッカーU-23日本代表ならスペインとも戦える。イスラエル戦で示した真の力、アジア杯から続く体質【パリ五輪】

AI要約

U-23日本代表はU-23イスラエル代表を1-0で破り、準々決勝進出を果たす。6人の選手入れ替えがあったが、チームの戦い方に変化はなかった。

前半はイスラエル代表の圧力に苦しむも、日本代表は落ち着いてプレーを展開。後半は再度守備を固めつつ、攻撃に転じて勝利を掴む。

荒木や植田などがボランチでプレーする異例の起用もあり、藤田や小久保の活躍もあり、日本代表は堅実なプレーで勝利した。

今のサッカーU-23日本代表ならスペインとも戦える。イスラエル戦で示した真の力、アジア杯から続く体質【パリ五輪】

 パリ五輪(パリオリンピック)の男子サッカー競技・グループリーグ第3戦、U-23日本代表対U-23イスラエル代表の試合は1-0で日本代表が勝利。すでに準々決勝進出を決めていた日本代表はU-23マリ代表戦からスタメン6人を変更したが、全員でハードワークをする日本代表の戦い方はメンバーが変わっても変わらない。(文:西部謙司)

 すでに準々決勝進出は決定。引き分けでも1位通過が決まるU-23日本代表は第2戦のU-23マリ代表戦から6人を入れ替えた。初戦と第2戦でも先発3人を入れ替えていて、過密日程を乗り切るためのローテーションを使っている。

 エース格の斉藤光毅はベンチ外、攻守の要である藤田譲瑠チマも温存。細谷真大、高井幸大、関根大暉、大畑歩夢も外し、3試合連続の先発は山本理仁、GK小久保玲央ブライアンの2人だけだった。

 選手は入れ替わっても戦い方は一定。5人の交代枠を使いながらの総力戦はアジア予選でも見られたこのチームの特徴だ。

 立ち上がりの20分間ほどは、パスワークの上手いU-23イスラエル代表に主導権を握られた。大きなピンチが2回あり、GK小久保のセーブが救っている。しかし、それ以降は盛り返して攻め込めるようになった。藤田がいない影響か思うようにボールを奪えなかったが、落ち着いてつなぎはじめるとリズムをつかんでいる。

 33分には佐藤恵允の折り返しを川崎颯太がシュート。シュートは精度を欠いたが形としては決定機だった。その後も山本を中心に左右にボールを動かし、日本代表の距離感でプレーする。イスラエルの序盤の攻勢にも慌てず、機を見て自分たちのペースに変えたところはこのチーム地力を感じさせた。

 後半から、3連戦の山本に代えて植中朝日を投入。荒木がトップ下からボランチに1つポジションを下げた。前半途中からの攻勢をみて決めたのか、あるいは予定していた交代かはわからないが、荒木のボランチは守備面ではリスクがあった。79分には川崎の負傷もあって藤田が登場すると、ボランチは藤田と植田が組んでいる。

 荒木、植田はアタッカーなのでボランチは本来のポジションではないが、どちらもそつなくこなしてはいた。これまでは藤田と山本のコンビが鉄板、川崎のバックアップで回していて、荒木と植中のボランチ起用はおそらく今回かぎりだろう。藤田、山本を休ませる必要があった。荒木と植中のボランチは直接今後にはつながらないものの、意味のある起用だったといえる。

 後半は再びイスラエル代表がボールを支配して攻めるが、日本代表も押されっぱなしにはならず五分五分の展開。80分にはヘディングのクリアを拾われて際どいシュートを打たれるが、またも小久保が防ぐ。1分後にもミスを拾われてシュートされたがこれも小久保。SNSで「国防」と呼ばれるようになった小久保はまさに守護神だった。

 藤尾翔太と、交代出場の細谷による2トップとなり、右に佐藤、左に交代出場の三戸舜介。ボランチの1人は植田というアタッカー5人の編成となった日本代表も反撃する。藤田は攻守に格の違いを見せつけ、三戸のドリブルもファウルしないと止まらない。

 アディショナルタイム1分、立て続けに2本のシュートを放っていた細谷が決勝点をゲットする。