酷暑の日本で…Jと来日クラブの実力差露わ シーズン開幕前でも技術は「一枚上手だった」【コラム】

AI要約

ブライトンと鹿島アントラーズの親善試合では、実力差が浮き彫りになった。両チームの展開するサッカーには類似点があったが、5-1というスコアが大きな差を示していた。

近年の潮流として、ヨーロッパの主要リーグのチームが日本で試合をすることで、世界が近づいていることを感じさせられる。選手の多国籍化により、国境を超えたサッカーのスタイルが確立されつつある。

ブライトンはシーズン開幕前でありながら、熱いコンディション下でも勝負強さを見せ、イングランドのスタイルを超えたボールコントロールとスピードで鹿島を上回っていた。

酷暑の日本で…Jと来日クラブの実力差露わ シーズン開幕前でも技術は「一枚上手だった」【コラム】

 シーズンの開幕を前にしてチームの構築段階であるブライトンと、リーグ戦の真っ只中にある鹿島アントラーズの対戦で、ここまで実力差が浮き彫りになるとは思っていなかった。親善試合ということで、全体の流れとしてお互いに勝敗へのこだわりや局面の勝負では、公式戦の時のような、なんとしてでも勝たなければならないという激しさはなかった。だが、両チームには展開するサッカーに類似する部分もあったが、5-1というスコアが示すように内容的には大きな差があった。

 それにしても、こうしてヨーロッパの主要リーグのチームがシーズンの開幕を前にして、わざわざ日本にやって来て試合をする近年の潮流は、改めて世界が近くなっていることを実感させられる。そして、チームを構成する選手が多国籍となった現代サッカーでは、戦い方もそのクラブが所属する国のリーグに持つイメージに留まらず、もはや国境はないのだと感じる。

 たとえば、かつてのイングランドのクラブと言えばキック・アンド・ラッシュを武器に、激しく戦うスタイルが主流だった。しかし、現代ではそうしたイメージばかりではなく変化してきている。日本を代表するドリブラーの三笘薫が所属するブライトンも、フィジカルを武器に戦うだけのチームではない。

 ブライトンはシーズン開幕前であり、蒸し暑い厳しいコンディションのなかでの試合でも、しっかりと走り切っていた。そのタフさはシーズン中の鹿島にもまったく引けを取らず、いやむしろ走り勝っていたところは、さすがイングランドのチームと思わせた。

 そして、そのスタイルは的確な守備からボールを奪うと素早く前線へとボールをつなぎ、あっという間にゴールまで到達してしまうスピードを兼ね備えていた。各選手の基本技術は高く、ボールを受ける時のタッチが繊細で正確だ。その後のボールコントロールも巧みで、チャンスと見ればドリブルで仕掛け、しかし必要以上のボールキープはしない。次々と前線へと進出して行く仲間に合わせてスルーパスを繰り出していき、ゴールを目指していた。

 今シーズンの鹿島もランコ・ポポヴィッチの指揮の下、こうしたスピーディーなサッカーで復活の感を強めている。だが、ボールを相手ゴールへと運ぶ上手さはブライトンのほうが一枚上手だった。