変則投手にも動じない今年No.1スラッガー・石塚裕惺(花咲徳栄)、知られざるルーティンとは?【24年夏・埼玉大会】

AI要約

花咲徳栄が滑川総合を4-1で破り、県大会ベスト8に進出

石塚選手の打撃がチームを支えるも、苦しい展開に

石塚選手は動じず、足や守備でも貢献。チームを引っ張る存在

変則投手にも動じない今年No.1スラッガー・石塚裕惺(花咲徳栄)、知られざるルーティンとは?【24年夏・埼玉大会】

<第106回全国高校野球選手権埼玉大会:花咲徳栄 4-1 滑川総合>22日◇5回戦◇県営大宮球場

「前回の試合で電気付けられちゃって(笑)。鏡を見て軌道を確認してっていうのを県営での試合ではずっと続けています」

とは花咲徳栄のドラフト上位候補に挙がるスラッガー・石塚 裕惺(3年)は県営大宮球場で自らの”ルーティン”を持っている。試合開始直後第1打席が回って来る前、ベンチ奥のスペースで真っ暗闇にして鏡の前で黙々とバットを振り精神を集中させる。

 Aシード・花咲徳栄 vs 滑川総合との一戦。

 この日花咲徳栄は今大会初めて苦戦を強いられる展開となる。

 滑川総合の先発、サイドスロー・服部 煌也(3年)の前に初回こそ2番・目黒 亜門(3年)のセンター前タイムリーや5番・田島 蓮夢(2年)のライト前タイムリーなどで幸先良く3点を先制するも、これまで全試合コールドで勝ち上がってきた強打の花咲徳栄打線はその後苦しむ。

「タイミングがずれていた。相手の投手のツーシームが真っ直ぐに見えていたようで。相手は長く持ったりクイックで投げたり良い投球をしていた。緩いボールを長くって言っていたんですけど、見すぎていたので途中で引っ張っていいよって。これまでずっとコールドで楽しすぎているから、結果的には良かった」(岩井監督)

と、岩井監督は選手を庇うが、石塚は

「今日は9回まで行く気はしていた。対策はしてきたつもりなんですが、ああいう軌道で投げてくる投手の対策って難しくて。思ったよりフォームの緩急があって、走者がいる時に急にクイックできたり、走者がいない時は2段モーションでずらして投げて来たりとか。直球もスピードを変えてきたりとか。なのでより的確に芯で捉えることが大事。今日は場面を考えて打席に立っていた。みんなもフライはダメだと思っていたはずだが、野球はタイミングのスポーツなのでちょっとずらされると、下から行っていなくても上がったりはする」(石塚)

と、チームが相手の投球に苦しむ中、動じなかった。2回戦は調子が悪かったというが、初打席できっちりとレフトスタンドへ叩き込み、その後しっかりと修正し、3回戦、4回戦と徐々に状態は上がってきている。

 この日は第2打席にライト前ヒットを放つと第3打席は「流れが悪かったので良いのを打ちたかった。決して下から入ったとかではなく、芯で当たったんですが、少し上がり過ぎた。もっと低くライナーの意識で打っていれば超えていたのかな」と本人は試合後若干反省気味であったが、レフトへあわやの大飛球を放つ。

 第4打席は3対1のまま迎えた8回裏の先頭打者としてレフト前ヒットを放ち出塁すると、その後打線がつながる。続く田島がライト前ヒットを放ち無死一、三塁とすると、6番・横山がライト前タイムリーを放ち貴重な追加点を奪う。

 投げては先発の岡山 稜(3年)が滑川総合打線を寄せ付けず8回被安打6、無四球1失点と好投。結局、花咲徳栄が滑川総合相手に4対1で勝利しベスト8進出を決めた。

 確かにこの試合花咲徳栄は苦しんだ。それでも今年のチームには動じない男・石塚という大黒柱が存在する。石塚がブレない限り、チームは揺るがない。

 石塚は決して打つだけの選手ではない。この日も一つ盗塁を決めるなど足もあり、守備も堅実である。

 チームへの貢献度の高い石塚が残り3試合、甲子園までチームを引っ張る。