東十両2枚目・尊富士、119日ぶり復帰で白星 優勝した春場所以来の土俵で阿武剋退けた

AI要約

尊富士が復帰土俵で白星を挙げ、春場所以来の活躍を見せる。

けがから復帰までの道のりや意気込み、将来に期待が高まる。

身体の変化や意気込みなど、次世代のスター候補として注目される尊富士。

<大相撲名古屋場所>◇8日目◇21日◇ドルフィンズアリーナ

 3月の春場所で110年ぶり2人目の新入幕優勝を果たした東十両2枚目の尊富士(25=伊勢ケ浜)が、119日ぶりの復帰土俵を白星で飾った。7日目終了時点で十両優勝争いのトップに並んでいた、西十両筆頭の阿武剋を破った。優勝を決めた3月24日の春場所千秋楽、幕内土俵で豪ノ山を破って以来の白星を手にした。

 春場所は14日目の朝乃山戦で右足首を負傷した。千秋楽は強行出場し、大銀杏(おおいちょう)を結えない、ちょんまげ力士として史上初の優勝。出世の早さに髪の伸びが追いついていなかったが、この日は初めて、大銀杏を結って復帰土俵に立った。

 右足首を痛めた影響で、5月の夏場所を全休し、今場所は十両に番付を落とした。全休なら次の秋場所は幕下への陥落が濃厚という状況で、途中出場を決めた。今場所前、師匠の伊勢ケ浜親方は「本人は出たいと言っているけど、関取衆と稽古できていないから。けがが治れば出場させる」と、慎重に話していた。師匠に途中出場を願い出たのは、前日20日の7日目だった。この日の朝稽古後、尊富士は「自分で決めたことなので。周りがどうのこうのじゃなくて」と、あくまで自己責任で土俵に立つ決心をしたと強調していた。

 数字上、このまま全勝なら勝ち越しの可能性もあるが「そういうのは、もともと考えてないです。中日から出たら、そう思われてもしょうがないですけど」と、星数にはこだわりがないという。それよりも「名古屋場所は年に1回しかない。年1回のお客さんのために。僕の心配はいらない。(会場に)来てくれる人が楽しんでもらえれば、それだけで満足」と、負傷の間も欠かさずトレーニングして、分厚くなった胸を張って話していた。

 朝稽古後は現在の体重を「220キロ。春から50キロ増えた」と、冗談を交えて話すなど、明るい表情を見せていた。けがしながら優勝した春場所で、一躍人気者の仲間入りを果たした尊富士。次世代のスター候補が、後半戦の土俵を盛り上げる。