横浜FM16年ぶりの監督途中解任、決意の新体制初陣で弱みを埋めた主将MF喜田拓也の献身「全ての面で気を配って、穴を作らず…」

AI要約

横浜F・マリノスは16年ぶりの途中監督解任後、ジョン・ハッチンソン暫定監督のもとで再出発しFC町田ゼルビアに2-1勝利。上位相手の2連勝で夏の中断期間に入る。

キャプテンのMF喜田拓也が主将として献身的なプレーを見せ、新たなポジショニングでチームをコントロール。前体制のシステムを大きく変えず戦い、首位相手からの勝利を掴む。

喜田は過去半年の成長と苦難を考え、チームの可能性を信じて続行を誓う。

横浜FM16年ぶりの監督途中解任、決意の新体制初陣で弱みを埋めた主将MF喜田拓也の献身「全ての面で気を配って、穴を作らず…」

[7.20 J1第24節 町田 1-2 横浜FM 国立]

 クラブにとって16年ぶりのシーズン途中の監督解任から5日後、横浜F・マリノスはジョン・ハッチンソン暫定監督のもとで再出発を果たした。試合前までリーグ最少失点タイで首位を独走していたFC町田ゼルビアに対し、前半のうちに2ゴールを奪うと、最後は逃げ切る形で2-1の勝利。前節・鹿島戦(◯4-1)に続く上位相手の2連勝で夏の中断期間に入った。

 試合後、キャプテンのMF喜田拓也は「本当にシンプルに勝ちたかったし、もう一度強く、このチームとこの仲間を信じているというのをまず自分が示したくて試合に入った。マリノスがいろんな目で見られるのもわかっていたけど、マリノスファミリー全員で見返しに行こうという意思表示をしたかった。前向きにこれから進んでいくぞというのをみんなで共有できる時間になったと思う」と手応えを口にした。

 ハリー・キューウェル監督解任後の新体制初陣、喜田自身の役割にも大きな変化が見られた。特に際立っていたのはこれまでの定位置だった中盤の底にとどまらず、SBが動いた場所に顔を出してスペースを埋めるタスク。主将の献身的なポジショニングにより、守備面ではカウンターの芽を何度も摘むことにつながり、攻撃面では今季苦しみ続けた最終ラインからのビルドアップを助ける場面が相次いで見られた。

「役割やタスクのところは多少の変化もあり、自分たちで合わせて行くところは短い時間ながらも取り組んできた。周りとコミュニケーションを取りながら自分のところでチームをしっかりコントロールできるようにというところで意識して入った。全ての面で気を配って、穴を作らず、チームを全ての面で前進させられるようにということを考えていた」(喜田)

 そう語る喜田だが、前体制の仕組みを抜本的に変えようとしているわけでもない。

 MF天野純、MF渡辺皓太との中盤3枚の関係性の変化は「そこまでは大きくはない」と強調。「彼らの良さも十分に理解しているし、他の選手も然り。一緒にやる選手たちの良さを十分に引き出したいと思っているし、その時々で必要な判断は変わるし、逆によりいい判断、決断ができれば絶対にチームにプラスになる。それを責任持って判断しながらという形で試合は進んでいた」。4-3-3の基本布陣を大きく崩さず戦う志向の強かった前体制のシステムから、そこで課題となり続けていた弱みを埋めることに尽力した印象だった。

 そうして掴んだ首位相手の白星。喜田は「(監督交代という)タイミングもそうだし、相手も非常に力のある相手で、見られ方もいろんな形ではされるとは思う」と町田戦の位置付けに向き合いつつ、監督交代に揺れながらも掴んだ勝利を次のように位置付けた。

「ハリーとの挑戦も全てが無意味だったと全く思わないし、その期間があったからこそマリノスらしさの発見、成果もあった。もちろん足りなかったこと、できなかったことも全員で受け止めて、苦しさも悔しさもあった。だけどマリノスファミリー全員で進んできたので、それが全てつながっているなと感じられたゲームだった」

 喜田自身も前体制下において、ボックス周辺への攻撃参加が目に見えて増えるなどプレーヤーとしての幅を大いに広げた。そのトライは今後のサッカー人生に間違いなく活きるはずだ。

 だが、喜田が考えるのはそれ以上にチームのことだ。約半月の中断期間後には14試合が残り、首位と勝ち点15差、ACL圏とは12差。ここまでの苦難と真摯に向き合い続けてきた主将は諦めず、「これまでの半年は全然ムダじゃなかったと思うし、これからの可能性もこの半年にあったと思う。それをみんなのプレー、姿勢で示そうと試合に入ったので、またここからも全員で前向きにチャレンジしていきたい」と力強く継続を誓った。