加納陸は3回KO負け 亡き友に誓った悲願の世界王座奪取ならず

AI要約

WBO世界フライ級2位の加納陸がアンソニー・オラスクアガにKO負けし、世界挑戦は悲願の王座奪取を果たせず。

加納は友への約束を果たすことはできなかったが、潔く自らの挑戦を全うした。

加納はフィリピンでプロデビューし、若くして世界に挑戦。亡くなった友との思い出を胸に日々励んでいた。

加納陸は3回KO負け 亡き友に誓った悲願の世界王座奪取ならず

プロボクシング興行「Prime Video Presents Live Boxing9」(20日、東京・両国国技館)WBO世界フライ級2位の加納陸(26)=大成=は同級3位のアンソニー・オラスクアガ(25)=米国=に3回2分50秒KO負けし、2016年8月以来2度目の世界挑戦も悲願の王座奪取はならなかった。オラスクアガは2度目の世界挑戦で初の王座に輝いた。加納の戦績は29戦22勝(11KO)5敗2分け。オラスクアガは8戦7勝(5KO)1敗。

亡き友に誓った約束は果たせなかった。18歳で初めて世界に挑んだ日から約8年。KO負けで王座には届かなかったが、すべてをやり切り、加納は潔かった。

「思っていた通り危険なパンチがある選手でした。世界戦を闘うのにふさわしい相手でした」

昨年4月に当時のWBA、WBC世界ライトフライ級統一王者の寺地拳四朗(BMB)を苦しめた強打の相手に序盤からひるむことなく立ち向かった。だが、3回に強烈な左フックをもらってリングに沈むと、立ち上がる力は残っていなかった。

中学2年で大成ジムに入門。当時の日本国内のプロテスト受験資格は17歳だったため、16歳だった加納は13年12月にフィリピンでプロデビューしている。このとき一緒にデビューしたのが、15年2月に白血病のため、17歳の若さで亡くなったジム仲間の服部海斗さんだ。

同学年の2人は元2階級制覇王者の井岡弘樹が持つ18歳9カ月10日の国内最年少での世界王座獲得記録更新を目指して切磋琢磨(せっさたくま)していた。だが、14年3月に服部さんの病気が発覚。闘病の末、帰らぬ人となった。

16年8月にWBO世界ミニマム級王座決定戦で初めて世界に挑戦。元世界主要4団体制覇王者の高山勝成に6回負傷判定で敗れ、その後はチャンスは巡ってこなかった。それでも「世界王者になる」という一念で闘ってきた。

加納は今も練習前にはジムのロッカールームに飾られている服部さんの遺影に手を合わせるのが日課だ。「今日も見守ってくれたと思います。感謝しています」と穏やかな表情を浮かべた。(月僧正弥)