田中恒成 世界初防衛戦「中止」の波紋 興行よりも〝選手ファースト〟の時代に

AI要約

ボクシングの3大世界戦前日計量が行われ、挑戦者の体重超過により試合が中止となった。このような事態は史上初のことであり、挑戦者には出場停止のペナルティーが科される。

JBCは、ベストなコンディションでない選手が世界タイトルマッチにふさわしくないという判断を支持し、中止の英断だったと評価した。

過去には体重超過しても試合が行われた例があるが、今回の決定が主流になり、興行に穴を空けない伝統が変わるかもしれないとの期待がある。

田中恒成 世界初防衛戦「中止」の波紋 興行よりも〝選手ファースト〟の時代に

 興行よりも選手ファースト――。ボクシングの3大世界戦(20日、両国国技館)の前日計量が、19日に都内で行われた。WBO世界スーパーフライ級(上限体重52・1キロ)タイトルマッチは、王者・田中恒成(29=畑中)が52・1キロでパスした一方で、挑戦者ジョナタン・ロドリゲス(28=メキシコ)は、55キロと大幅に超過して試合は中止となった。

 ロドリゲスの体重は2階級上に相当。2時間以内の再計量へ減量を試みたものの、体調不良を起こし、両陣営が協議した上で決定に至った。国内の世界タイトルマッチが体重超過で中止となるのは史上初。挑戦者には日本ボクシングコミッション(JBC)のルールにより1年間出場停止のペナルティーが与えられるという。

 JBCの安河内剛本部事務局長は、中止を受けて「今回はベストのコンディションで上がれないのであれば世界タイトルマッチにふさわしくないという判断がされた。英断だったと思う。田中選手はじくじたる思いだろうが、本人も含めてそういう判断をしたことをリスペクトしたい」と評価した。

 過去には2018年3月にルイス・ネリが1・3キロ、同年4月に比嘉大吾が900グラム超過しながらも試合が決行されたなどの例があり、安河内氏は「日本ではなるべく興行に穴を空けない文化、伝統があった」と指摘。そんな状況での決定に「このような判断が主流になってくるかもしれない」と期待した。