【湘南】新たなスタイルで輝く茨田陽生。チームの好調継続へ「ベテランとしての働きが大事になってくる」

AI要約

湘南ベルマーレがジュビロ磐田戦で5-0の勝利を収め、注目すべきスタッツがあった。

左サイドボランチの茨田陽生がチーム最長の11.2kmの走行距離を記録し、攻守で活躍した。

茨田は連戦でも疲れを感じさせず、チームのポゼッション志向の変化にも適応し、経験を活かしてチームをリードしている。

【湘南】新たなスタイルで輝く茨田陽生。チームの好調継続へ「ベテランとしての働きが大事になってくる」

 湘南ベルマーレが5-0で勝利した7月14日のJ1第23節・ジュビロ磐田戦で注目すべきスタッツがあった。

 試合後に発表された選手個々の走行距離。湘南でトップの数字を記録したのは、3-5-2の左サイドボランチ(インサイドハーフ)で先発した茨田陽生だった。

 茨田は田中聡(10.8km)や鈴木雄斗(10.3km)ら運動量に自信を持つ味方選手たちを上回る11.2kmを記録。左ウイングバックの畑大雅や左ストッパーの鈴木淳之介とともに攻守で躍動し、持ち前の精度の高いパスでチームをコントロールしつつ、守備時も鋭いタックルで相手の攻撃を阻んだ。

 機動力や運動量よりも、テクニックに長けている印象がある33歳は、なぜチーム最長の走行距離を記録できたのか。本人は、磐田戦の展開に理由があると明かす。

「前半の早い時間(20分)に相手DF(リカルド・グラッサ)が退場して、逆に(攻めあぐねるなどして)11人の僕らが苦しくなる状況も想定できたし、それだけは避けたかった。そんな危機感がプレーに表われたんじゃないかなと思います」

 茨田は7月10日の天皇杯3回戦の東京ヴェルディ戦(1-0)にも同じポジションで先発し、81分までプレー。そして中3日で行なわれた磐田戦ではフル出場を果たしたが、「身体の状態はまったく問題ない」と疲れを感じさせなかった。むしろ「連戦で長い時間戦えて、チームに貢献できていると肌で感じている」と自信を深めているようだ。

 

 好調ぶりをアピールする茨田の追い風となっているのが、チームスタイルの変化だ。以前のハイプレスやショートカウンターを主武器とした戦術から、徐々にポゼッション志向が強まっている。そんななかで、サイドボランチにはパスの正確性や守備陣からボールを引き出すポジショニングが求められ、背番号14の重要性が高まっているのだ。

 近頃のチームの変化について、茨田は次のように語る。

「後ろに入っている(髙橋)直也とジュン(鈴木淳之介)は思い切ってボールを運んで前につけられるので、必然的にチームとしてボールを握る時間は増える。自分は引き続き良いポジションを取り続けて、ボールを引き出したいです。練習のなかでも他の選手とコミュニケーションをとって、“こうした方が良いんじゃないか”という話し合いができているので、その成果を試合で出して自信をつけていくだけだと思いますし、それが少しずつできているのが最近の好調につながっているのかなと」

 ボール保持が形になってきた成果もあり、22節の浦和レッズ戦(3-2)から天皇杯の東京V戦、磐田戦と現在公式戦3連勝中の湘南。チームの好調を維持するため、茨田は自らの経験を活かしたいという。

「今は3バックの両脇を直也とジュンがやっていますが、彼らには『高い位置に入ってきてほしい』と強く伝えているし、上手くやってくれています。若手の活躍で今の湘南の勢いがあるので、流れを継続させるため、味方へのアドバイスや試合中のプレーで背中で見せるなど、ベテランとしての働きが大事になってくると思います」

 パスセンスや味方への発信力を示す茨田は、新たなスタイルで戦うチームにおいてピッチ内外で欠かせない選手になるかもしれない。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)