藤田譲瑠チマ主将に「着用」義務化、UEFA「先走り」で採用へ【サッカーの最も醜いシーンを撲滅「キャプテンオンリー」は正式ルールになるのか】(2)

AI要約

サッカーから、最も醜いシーンが排除される可能性がある。審判への執拗な抗議を抑制するルールが、欧州選手権でテストされた。

2024/25のルール改正が行われ、アームバンドをしているキャプテンのみがレフェリーに質問できるようになる可能性もある。

一部問題があるものの、UEFAはこの新しいルールをEURO2024ドイツ大会および新シーズンの全大会で採用することを決めた。

藤田譲瑠チマ主将に「着用」義務化、UEFA「先走り」で採用へ【サッカーの最も醜いシーンを撲滅「キャプテンオンリー」は正式ルールになるのか】(2)

 サッカーから、最も醜いシーンが排除されることになるかもしれない。審判への執拗な抗議を抑制するルールが、欧州選手権でテストされたのだ。このルールとサッカーの展望を、サッカージャーナリスト大住良之が考察する。

 EUROでは、厳密な形ではないが、この方法が取られている。大会前に出場チームに通知し、キャプテンのみがレフェリーに質問など話ができること、キャプテン以外の選手が近づいたときには罰せられることを伝えた。

 しかし、これはあくまで「試行」してもいいということで、ルールが改正されたわけではない。ルールの試行というのは、それをやってみようという競技会(リーグや大会)が、各国協会を通じて参加をIFABに申請し、IFABの許可を得なければならない。したがって、そういう手続きを踏んでいない試合で、キャプテンだからといってレフェリーに質問をする権利を主張するのは見当違いだ。

 実は、その前段階として、2024/25のルールでは、非常に些細と思われる改正が行われている。その改正は、第3条(競技者)と第4条(競技者の用具)にまたがっている。チームには、アームバンドをしたキャプテンを置かなければならず(第3条)、またキャプテンはそれを示すアームバンドを着用しなければならないというものである。なお。2024/25ルールの公式な日本語訳はまだ発表されていない。英語版は、IFABの公式サイト(https://www.theifab.com)からダウンロードできる。

 2023/24までのルールには、「キャプテン」についての言及はあるものの、その内容は実にあいまい模糊としたものだった。

「チームキャプテン:チームのキャプテンは、なんら特別な地位や特権を与えられているものではないが、そのチームの行動についてある程度の責任を有している」(第3条第10項)

 今年初めて認められた「キャプテンオンリー」の試行が好結果を生むなら、来年のルール改正で採用される可能性は大きいのではないかと、私は考えている。EUROでの「試行」が、大きな後押しになるのではないだろうか。

 ところが、ひとつ問題がある。

 3月22日の「回状」には、「この試行は、国内上位2つのリーグ、または各国の『A』代表のチームが関わらない競技会でのみ実施できる」と書かれている。JFAによるこの部分の日本語訳は直したほうがいい。このままだと「国内上位2つのリーグ」は実施できると読めてしまうからだ。英語の原文を読むと、国際Aマッチでも、国内上位2リーグでも実施できないと、明確に書かれている。いずれにしろ、このままなら、当然、各国代表チームが出場するEUROでは実施できないはずなのだ。

 しかし、欧州サッカー連盟(UEFA)は、5月にこの方式をEURO2024ドイツ大会で使用することを決めて発表、ごらんのとおり、堂々と使ってしまったのである。それだけでなく、好感触を得たことで、7月5日には、これから始まる新シーズンのUEFA主催の全大会で使用することを発表した。