アカデミーのテコ入れに着手。反町康治GMの本気「エスパルスも理想的な循環を作っていかないといけない」

AI要約

2020年にJFA技術委員長となった反町康治GMは、新型コロナウイルスの影響で異なる仕事に就くことになり、日本サッカーのさまざまな課題に取り組んできた。

アジア最終予選で苦戦しながらも2022年カタールW杯の切符を獲得した日本代表は、新たな景色を見ることはできなかったが、一定の結果を残している。

反町GMは現在、清水エスパルスでアカデミーのテコ入れに取り組み、若手選手の育成に力を入れている。クラブの将来を見据えて努力を続けている。

アカデミーのテコ入れに着手。反町康治GMの本気「エスパルスも理想的な循環を作っていかないといけない」

 2001年にアルビレックス新潟で指揮官となってから足掛け20年。清水エスパルスの反町康治GM・サッカー事業本部長は長く現場に立ち続けてきた。

 その彼が日本サッカー協会(JFA)技術委員長という異なる仕事に就いたのは、2020年3月。新型コロナウイルス感染拡大が本格化し、様々な活動がストップした矢先のことだった。

「最初は何をしていいか分からなかった」と当時の反町GMは語っていたが、6月から千葉・幕張の高円宮記念JFA夢フィールドが稼働し、コロナ対策を講じながら活動。彼自身も神経を使う日々を強いられたようだ。

 東京五輪の1年延期、2021年のU-17、U-20の両ワールドカップの中止など、予期せぬ出来事も次々と発生。2022年カタールW杯予選も日程が後倒しされた。

 2021年秋から始まったアジア最終予選では序盤に大苦戦したが、何とか巻き返して本大会切符を獲得。カタールW杯ではドイツとスペインを撃破するなど一定の結果を残したものの、「8強入りし、新しい景色を見る」という公約を果たすことはできなかった。

 その後、反町GMはA代表とパリ五輪を目ざすU-23日本代表の強化から一線を引き、年代別代表や育成年代、指導者養成などを主に担当。現在、清水に在籍する西原源樹や矢田龍之介、針生涼太ら次世代のタレントたちを間近で見る機会に恵まれたという。

「JFAにいた4年間は本当にいろいろ勉強させてもらった。U-17、U-20のワールドカップ、五輪、ワールドカップと全カテゴリーの世界大会を経験できたし、名刺が1メートル以上、積み上がるほど人脈も広がった。技術委員会の座長や理事会のメンバーという立場もあって、それほど日本を空けるわけにはいかなかったけど、海外遠征の流れでシント=トロイデンなど欧州クラブや日本人選手を視察に行ったり、2年前のイビチャ・オシムさんの葬儀にも参加させてもらう機会にも恵まれました。

 特に若い世代の実情を把握できたのは大きな財産ですね。それはJクラブの現場を預かっている時にはできなかったこと。4年間の貴重な経験をどうエスパルスに還元していくのか。これからの自分はその命題と真摯に向き合っていかないといけないと思います」と、反町GMは神妙な面持ちで言う。

 特に清水に赴いてからは、アカデミーのテコ入れに本気で着手しなければいけないという意識を強めている。目下、清水ユースは東海プリンスリーグ1部に所属。藤枝東や藤枝明誠、静岡学園Ⅱ(セカンドチーム)といった高体連勢の後塵を拝している。

 清水ユースと言えば、17歳でA代表デビューした市川大祐を筆頭に、現在強化部で働いている高木純平、反町GMの指導を受けた長沢駿、犬飼智也など数多くのJリーガーを輩出してきた名門だ。2022年までは高円宮杯プレミアリーグEASTに在籍。そこから陥落した今、やや停滞感が拭えない。

 今季もレンタル移籍先から復帰した成岡輝瑠らがトップチームに在籍しているものの、なかなか出番を得られていない。17歳の西原が出場機会を得て、4月20日のベガルタ仙台戦でプロ初ゴールを挙げたのは朗報だが、もっともっと下からの突き上げを加速させ、好循環を作っていく必要がある。