荒川静香さん、高橋大輔さん、浅田真央さんパリ五輪にエール それぞれの注目ポイントは?

AI要約

フィギュアスケートの五輪メダリストがパリ五輪について語る。荒川静香さん、高橋大輔さん、浅田真央さんが共演するアイスショーに注目。

荒川さんは新種目のブレイキンに注目し、高橋さんはエンターテインメント性に魅了される。浅田さんは開会式や競技を通じたパリの世界観を楽しみにしている。

3人が共演するアイスショーでの期待と、五輪から得た財産について語られている。

荒川静香さん、高橋大輔さん、浅田真央さんパリ五輪にエール それぞれの注目ポイントは?

 フィギュアスケートの五輪メダリストから見たパリ五輪とは-。プロスケーターで06年トリノ大会女子金メダルの荒川静香さん(42)、10年バンクーバー大会男子銅メダルの高橋大輔さん(38)、同女子銀メダルの浅田真央さん(33)が一堂に集結。

 「3人で写真を撮るって記憶にない」と口をそろえる中、アイスショー「フレンズ・オン・アイス」(8月30日~9月1日、KOSE新横浜スケートセンター)での豪華共演を前に、開幕まで2週間を切った夏の祭典の注目ポイント、そして五輪から得た財産を語った。【取材・構成=阿部健吾、松本航】

 フィギュア日本女子唯一の金メダリスト、荒川さんは競技者目線で「新しい種目のブレイキンが、どう採点されるかに注目しています」と切り出した。メダル候補で日本選手団旗手を務める半井重幸(Shigekix)の演技を生で見たことがあり「身体能力を極限まで生かして表現する。私たちには全く想像ができない動き、見せ方が面白い」と魅了された。1対1のバトル形式が用いられ「技術性」「独創性」など5つの基準で採点が行われる。

 自身も採点競技に身を置いてきた。五輪初採用に着目し「『みんな納得いく結果になるんだろうか』と疑問もあります。人の心をつかめたのか、も重要になるのでしょうか。そういったことを知る夏。楽しみです」と想像した。3歳から取り組んだ水泳、娘が熱中する新体操、お家芸の柔道への関心も高く、スポーツの祭典が持つ力に期待する。

 「注目度が一気に上がり、競技の繁栄につながっていくのも五輪の力。平和をいま一度、意識する機会にもなります。スポーツにとどまらない影響力がある。スポーツを通じて多くの人が思いを寄せ、パリをきっかけに、世界がいい方向に進んでほしいと思います」

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 シングル、アイスダンスで活躍した高橋さんは、多彩な表現で魅了してきた。そのスタイルから「ファンタジーが好き」と言い、四六時中スポーツを見る機会はあまりないという。視線は「エンターテインメントなので、大好きですね!」と意外な角度に向いた。それは大会を彩る開会式や閉会式。パリではセーヌ川での開会式が予定されており「面白そう」と目を輝かせた。

 ニュースを通じて、夏季五輪が迫る空気を感じている。「バレーやバスケ。球技がすごいですよね。夏だとAS(アーティスティックスイミング)、新体操、元々やりたかった体操も見ます」。先日もラグビーを生観戦。知人と一緒にスポーツを見ることが「やっぱり好きです。ラグビーも音がすごくて感動しました」と笑う。スポーツを見ることの楽しさを説くと、競技者の視点で五輪の価値を思い返した。

 「五輪から次の五輪までのプロセスが『オリンピックだな』と思います。ピークを合わせることができる、できないとか。五輪自体を楽しみに見に来ているお客さまもいて、普段の試合と同じメンツでも、空気感は全然違います。そこは特別だと思いますが、やっぱりプロセス。自分にとって財産で本当にいい経験でした」

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 笑顔あり、涙あり…。2度の五輪を経験してきた浅田さんは「開会式がセーヌ川。ベルサイユ宮殿の前で競技(近代5種、馬術)をしたり…。楽しみです。タイムスリップしたような世界観になると思います」とほほ笑んだ。国際大会で何度も訪れた花の都に、競技がとけ込んでゆく様子を静かにイメージした。

 現役時代、国内外からの期待を背負った。だからこそ「オリンピック経験者として、日本の選手が活躍してくれると、すごくうれしい。柔道で勢いをつけて『日本人がメダルラッシュになってくれたらいいな』と思います」と素直な感情を明かした。14年ソチ大会ではショートプログラム(SP)16位から巻き返したフリーで、競技の枠を超えた人々へ勇気を伝えた。自身の経験を踏まえ、パリに向かう選手へ思いを寄せた。

 「やっぱりオリンピックがあるから、今の自分がある。そういった意味では『諦めなくて良かった』と思います。残念、つらい思い出もあるけれど、すごく楽しかったり、本当に誰もが味わうことができない舞台に立たせてもらった。オリンピックという4年に1度の貴重な舞台で、世界中の皆さんにパワーや感動を届けてほしいなと思います」

 ○…荒川さんが選手生活を終えてプロ生活が始まった06年5月8日、その日に産声をあげたのが「フレンズ・オン・アイス」だった。当時国内では、1人のスケーターが企画立案してショーを作り上げることはほぼ皆無。それから18年。18回目を迎える今回の公演では、その後に続いた後輩たち、高橋さん、浅田さんとの共演が実現した。

 「3人で写真を撮るって記憶にない」と口をそろえるほどで、共演は10年近くぶり。荒川さんに誘われた浅田さんは「選手時代、ともに頑張ってきた仲間と一緒にまた滑れる。すごいうれしい話ですよね」と快諾し、心待ちにする。

 それぞれが座長としてアイスショーを作り上げてきた3人に加え、期待の若手、海外のレジェンドスケーターも集結。荒川さんが掲げるテーマは「1人1人が輝いていけるようなショー」。この夏は氷の上でも、大きな輝きが放たれそうだ。