検見川・秋山大樹監督#1「初の関東大会出場! 快進撃の原動力は“KEMIGAWA PRIDE”」

AI要約

検見川が関東大会初出場を果たし、快進撃を見せる。

秋山大樹監督率いるチームは意外な成績を収め、大会出場を決める。

関東大会での激戦や準決勝、決勝までの試合の展開。

検見川・秋山大樹監督#1「初の関東大会出場! 快進撃の原動力は“KEMIGAWA PRIDE”」

 悲願達成に沸いた。

 現在、千葉県リーグ2部に属する検見川が同リーグ1部の八千代や日体大柏を次々に打ち破り、初の関東大会出場を果たした(5月25日から3日間、千葉県で開催)。見事な“ジャイキリ”を巻き起こし、県内のサッカー界に新たな風を吹き込んだ。

 チームを率いるのは、同校OBでもある若き秋山大樹監督だ。法政大学を卒業後、まず千葉北に英語科の教員として着任。同時にサッカー部の監督を託され、4年間、指導した。

 母校・検見川に赴任してきたのは2022年だ。高1のクラス担任をしながら、サッカー部ではコーチとして高1のチームを任された。本格的に監督に就任したのは、今年度のチームに切り替わってからだった。KEMIGAWA PRIDE――俺たちは簡単に負けるほど弱くはない!

 横断幕に掲げられるこのマインドが、快進撃の原動力となった。

――関東大会初出場までの道のりを、改めて振り返りたいと思います。

 僕ら検見川の目標は県のベスト16、ベスト8に入ることなのですが、新人戦を兼ねた関東大会のブロック予選を勝ち抜いて、まず16チームで戦う県予選に進出できました。関東大会に出るには、あと3勝(決勝進出の2チームが出場権獲得)。そのためには県の1部や同じ2部に属するチームを倒さなければいけない。簡単に負けるつもりなどありませんが、正直、最後まで出場できるとは思っていませんでした。「今年の関東大会は千葉県で開催されるから、出場できたら、大会役員の仕事が減るな」みたいなことを、選手たちに冗談半分でいっていたくらいです(苦笑)。

――悲願達成のポイントとは?

 今年度の県リーグが開幕して、なかなか結果が出ず、選手たちが少し自信を失いかけたときに関東大会の県予選が始まりました。「どうなるか」と思っていましたが、初戦の茂原北陵戦に勝てたことが大きかったです。ひとつ勝って自信を取り戻し、勢いづいたというか、いい流れに乗ることができました。ちょっとしたきっかけで変わっていけるので、「チームはやはり生き物だな」と感じます。そのあとに対戦した八千代や日体大柏は確かに格上ですが、自分たちがやろうとしていた戦い方がうまくはまりました。ボールを持たれて、攻め込まれるのは想定ずみ。そこから「どれだけカウンターを仕掛けて点を取れるか」が大きなポイントでした。選手たちはよく耐え、たくましく戦ってくれました。

――関東大会出場の切符がかかった準決勝は、5月3日、強豪の日体大柏との一戦でした。

  準決勝の会場は、いわゆる箱型のスタジアム(ゼットエーオリプリ)。僕らがこういう環境でできるのはめったにありません。試合前にプルプル震えている選手もいましたけど(苦笑)、「今日勝てばもっと自信がつく。新たな舞台である関東大会に出られて、この先のサッカー人生が広がっていく」と、モチベーションはすごく高かったです。会場にたくさんの人たちが応援にきてくれて、僕らを後押ししてくれました。そのおかげで、いつも以上に力を出せたのではないか、と感じます。

――スコアは2-1。勝った瞬間の心境は、どうでしたか?

 本当にやったぞ、と(笑)。スタンドの応援やピッチの選手たち、ベンチの選手たち、スタッフみんなで喜びを分かち合いましたし、掲げていた目標を成し遂げられたという達成感がありました。検見川のサッカー部にとって本当に素晴らしい瞬間でした。3年生たちはもちろん、この成功体験を見ていた後輩たちに与える影響もすごく大きい。「私たちも頑張ります!」と、ほかの部活の子たちからもいってもらえたので、(検見川にかかわる)いろいろな人たちに勇気を与えられたんじゃないかと感じ、うれしかったです。

――5月6日、県リーグ1部の習志野との決勝は0-1で敗れてしまいましたが、そこから関東大会まではおよそ3週間。どのように準備しましたか?

 ピッチ内外を含め、何もかもが初めてでしたから、いろいろ忙しくなるだろうなと思っていました。検見川は県立高校なので、予算ひとつとっても潤沢にあるわけではないです。保護者会の方々が率先して寄付を募ってくれて、皆さんのご協力の下、大会に臨むことができました。

――初戦の相手は横浜創英。神奈川県を代表する強豪のひとつです。

 相手チームを分析したうえで、試合に向けた自分たちの戦い方をしっかり共有して挑みました。1-0でリードして後半に入りましたけど、前半のうちにもう1点取れていれば、試合の結果は違っていたかもしれません。次々にメンバーを入れ替え、勢いをもって向かてくる相手に対して選手たちは粘り強く戦っていましたが、終盤にポンポンと決められてしまった。横浜創英は攻撃力があるチーム。1失点は覚悟していましたけれど、最後は押しきられたという感じです(結果は1-3)。

――試合途中に足をつらせる選手が何人か出るなど、ふだんのようすとはやはり違いましたか?

 大会が用意してくれた宿泊施設に泊まって、緊張感からか、前日、あまり眠れなかった選手もいたようです。やはりいつもどおりとはいきませんでした。大会に向けた最終的な準備のところで、今ひとつチームをまとめきれなかったという反省が残っています。ただ、そこは経験値が問われる部分でもあるでしょう。今回、初めて関東大会に出場して得られた経験を、チームとしても選手としも(監督である)自分としても次につなげていきたいと考えています。

(文・写真=小室功)