DeNA・度会隆輝に続く逸材は今年も現れるか!? 第95回都市対抗野球に出場する、プロ注目の4選手とは?

AI要約

都市対抗野球大会が始まり、社会人野球選手たちのプライドがかけられる季節がやってきた。

過去に東芝で野球を学んだ経験を振り返りながら、選手たちの熱い闘志や指導の重要性を語る。

都市対抗に向けて選手たちの緊張が高まる中、厳しい指導やチームの結束が重要視されている。

DeNA・度会隆輝に続く逸材は今年も現れるか!? 第95回都市対抗野球に出場する、プロ注目の4選手とは?

社会人野球選手が年に一度プライドをかけて戦う都市対抗野球大会の季節が今年もやってきた。“流しのブルペンキャッチャー”がその魅力と、ドラフト候補になるであろう注目選手を紹介する。

 都市対抗野球には、いくつかの思い出がある。

 まもなく20代も終わろうとする1984年頃、私は、社会人野球の名門・東芝(神奈川)の練習に毎日通って、野球の勉強をしていた時期がある。

 どうしても野球の仕事に就きたくて、次がまだ決まっていないのに会社を辞め、無理にお願いをして、練習に参加させてもらった。およそ1年半、毎朝、鶴見のグラウンドに通い、野球部員たちと同じユニフォームを着て、バッティング練習の捕手をしたり、ブルペンで投手陣のピッチングを受けたりした。あの頃の体感があるから、今も野球ライターの仕事が続けていられるのだと思っている。

 当時の東芝は、強豪というより「無敵」という表現の方が当たっていた。公式戦はもちろんのこと、日常的に行われるオープン戦でも、まず負けなかった。ベテランの中には、60何連勝はしている……と、プライドと自信を隠さない選手もいた。

 春の地方大会をいくつか終えて、選手たちに「変化」が表れてきたのは、ゴールデンウィークが終わったあたりだったろうか。選手たちが笑わなくなってきた。

 普段の練習前のベンチは、ベテラン選手を中心に、いろいろな話で盛り上がる。昨日のプロ野球、あの場面であの作戦はないだろうという「論評」だったり、ゆうべ、呑みに行った先で起こったザレごとから、時には下ネタまで、そりゃあ騒がしく、爆笑が絶えない。

 それが、5月も日が進むにつれて、練習前のベンチでしゃべる声がしなくなる。しゃべらないから笑いも起きない。

 そうなんだ……都市対抗の予選が近づいているからだ。

 そこのところを察することができずに緊張感の足りない新人選手がいたりすると、ベテランが見えない場所に連れて行って、指導を行う。

「オレたちが、仕事として野球やらせてもらっていることを、お前、わかってるのか。オレたちが会社に貢献できる機会は、都市対抗だけなんだ。都市対抗に出て、勝って、会社の人たちに元気になってもらって、大きく報道されて会社としての存在をアピールする。オレたちが会社にいる意味を理解できないようなヤツは、チームにいる必要はないから、荷物まとめて出て行ってくれ」

 聞こえてくる叱咤は、そりゃあ厳しいものだったが、いちいちもっともなことばかり。是々非々で、そういう「指導」ができることが社会人野球の意義でもあった。そうした雰囲気の中で鍛えられた選手たちだから、野球部を引退して社業に専念するようになっても、人一倍働いて東芝の幹部になった元・部員も多くいた。だから、一般の社員たちも、野球部出身者に一目置いていたし、それが「社会人野球」のあるべき姿であり、そのことは今もまったく変わってはいない。