4安打、長打3本の大爆発も「野球より勉強を」 薬学部目指す多摩・鈴木煌月の未来予想図

AI要約
第106回全国高校野球選手権神奈川大会の1回戦で多摩が白山を8-6で下し、鈴木煌月が4安打3打点の活躍を見せる鈴木煌は初回の三塁打で同点に追いつき、長打力を発揮。学業との両立を図るため進学校の多摩を選択板垣碧斗の負傷にもかかわらず、チームとして団結し勝利を目指す姿勢が見られる
4安打、長打3本の大爆発も「野球より勉強を」 薬学部目指す多摩・鈴木煌月の未来予想図

 第106回全国高校野球選手権の神奈川大会は8日、川崎市の等々力球場で1回戦を行い、多摩が白山を8-6で下して2回戦に進んだ。偏差値69の超進学校を勝利に導く働きを見せたのが、「3番・中堅」で先発し、5打数4安打3打点と大爆発した鈴木煌月(こうが=3年)だ。酷暑の中の試合、途中で足をつるアクシデントもありながら、最終学年の意地を見せた。本気の野球は最後と決めている夏。きっちり照準を合わせ、最高のスタートを切った。

「(足が)どっちもつっちゃって」。勝利を手にした鈴木煌は試合後、笑いながらこう切り出した。8回の守備で右中間の打球を追った際に、足がつって一時動けなくなるという場面があったからだ。

 ただ、打撃では狙い通りのプレーを見せた。特に気合が入ったという初回、1死三塁から左中間に適時三塁打を放ち同点に追いついた。先制を許し、出鼻をくじかれたチームに勢いを引き戻すかのような一打だった。

 長打を打てるようにと3年間練習してきた。そして迎えた夏初戦は4安打のうち三塁打が1本、二塁打が2本とまさに狙い通りの大活躍。トレードマークの笑顔満開でグラウンドを駆けた。飯島佑監督も「チームで一番信頼しているバッター」とのお墨付きを与える。

 実は強豪校からの誘いもあったというが、進学校の多摩を選んだ。中学時代に所属した横浜青葉シニアは、鈴木煌が中学3年時には全国大会出場を果たした強豪シニア。当時から野球の練習が終わると、塾に毎日のように通う日々だった。多摩を選んだのは「勉強がしたいという思いが強かった」からだ。そして、野球もこの夏が最後と決めている。「大学では部活動で野球をやるつもりはなく、勉強をこれからやっていきたい」と、薬学部への進学希望を口にする。

 毎日必死に野球の練習をしながら、未来予想図を描いているところだ。最後と決めているからこそ、本気でやれる。この試合、「2番・二塁」で先発し、8回にはランニング本塁打を放った板垣碧斗(2年)が9回の守備で肩を負傷。救急車で球場を離れ、一緒に校歌を歌うことができなかった。「板垣が自分を奮い立たせてくれた。板垣のためにも頑張りたい」。仲間の思いも背負って戦いぬくつもりだ。

 スタンドでは両親が見守っていた。野球も大好きな息子には、勉強だけでなく野球も頑張ってほしいといつも応援してきたという。この日の大活躍には「今日は活躍してくれて、本当に親孝行だな」と口を揃えた。まだまだ、鈴木煌の夏は終わらない。