履正社で全国制覇の名将・岡田龍生監督が率いる東洋大姫路、“夏の東洋”復権へ機は熟した!【野球部訪問】

AI要約

東洋大姫路の監督に就任した岡田龍生氏がチームを変革している様子や新たな選手達の成長が描かれている。

岡田監督は実力主義を重視し、投手力の向上や若手選手の台頭などチームの進化を図っている。

春の県大会で4位に入るなど着実に力をつけつつある東洋大姫路は、再度甲子園出場を果たして、常勝チームを目指している。

履正社で全国制覇の名将・岡田龍生監督が率いる東洋大姫路、“夏の東洋”復権へ機は熟した!【野球部訪問】

 甲子園通算23勝、優勝1回、準優勝2回――。履正社を全国屈指の名門に育て上げた岡田 龍生氏が母校である東洋大姫路の監督に就任したのは2022年のこと。

 その直前のセンバツで12年ぶりに甲子園出場にした東洋大姫路だが、「夏の東洋」と呼ばれ全国的な強豪だったのは過去の話だった。

それから2年、この夏、岡田監督就任と同時に入学した世代が最上級生となった。今春の県大会で東洋大姫路はセンバツ準優勝・報徳学園を下して4強入り。13年ぶりとなる夏の甲子園出場も視野に入っている。

 就任して2年、「どっちが良いか悪いかは別にして、履正社でやっていた最後の10数年くらいのことと、東洋大姫路がやっていたことは随分違うので、それを少しずつ変えていくのに凄く時間がかかっている感じですね」と岡田監督は現状について語ってくれた。

 一昨年に赴任した時点で 履正社とは平均して体重がマイナス10㎏、スイングスピードは15~20km/hもの差があったという。それを埋めるべく、新設されたトレーニングルームで体作りに励み、打撃練習の量も増やしてきた。まだ岡田監督の求める水準には達していないが、徐々にその数値は向上している。

 その成果もあり、春の県大会は4位。あと一歩で近畿大会の出場こそ逃したが、「去年、一昨年は初戦負けが多かったですけど、この春はベスト4まで来ているので、徐々には上がっていると感じます」と1年生からレギュラーを務める主将の露本 一惺内野手(3年)はチーム力の向上を実感している。

 今年のチームは最速144キロ右腕のエース・阪下 漣や「対応力がある」と岡田監督が評価する巧打のリードオフマン・渡邊 拓雲内野手などレギュラーの多くは2年生。3年生は48人いるが、春の県大会でベンチに入れたのは5人だけだ。

「履正社時代もそうだし、僕らが高校の頃の東洋大姫路もそうでしたけど、実力の世界なので、基本的に3年生優先ということはないですね」と岡田監督は実力主義を強調。岡田監督が東洋大姫路に来てから入学を決めた2年生はこれまで以上に実力者が揃っている。

 ストロングポイントになりそうなのが投手力だ。主力投手の阪下、中島 賢也(3年)、木下 鷹大(2年)はいずれも最速140キロを超える右腕。「全員が良いライバルとなって切磋琢磨しています」(阪下)と激しいエース争いが繰り広げられている。

 野手陣も3番の露本を中心に強いスイングができる選手が多い。しかし、春の県大会で準決勝、3位決定戦では1点に抑え込まれている。「まだ勝ち方、ゲームの進め方というところがちょっとわかっていない」と岡田監督は課題を感じているようだ。下級生中心で実戦経験が不足している面もあるだろうが、「『勝っている姿を見る』というサイクルができ上がってないからですね」と岡田監督はその原因を分析する。

 履正社では2006年春の甲子園に出場して以来、3年間の間に一度も甲子園に出られていない世代は存在しなかった。対する東洋大姫路は現3年生の入学直前に甲子園出場を果たしているが、それまでは10年以上のブランクがあった。過去に春夏合わせて20回の甲子園出場歴があるものの「(当時とは)全く別物のようになっている気がする」と岡田監督は捉えている。そのためにもこの夏に甲子園に出て、常勝チームへのサイクルを再び作ることが必要だと考えているのだ。