【コラム】英国人F1レポーターから見た角田裕毅の“暴言”問題「看過されるべき発言ではない。しかしF1での立場は失われない」

AI要約

日本人F1ドライバーの角田裕毅が無線で侮蔑的な言葉を使い、罰金を科された件について、F1の現場では角田に対する寛大な裁定が下された。

角田の言葉選びが知的障害者に対する古い表現であったことから、不快感をもたれる多くの人々から批判を受けたが、角田は謝罪し、問題の認識を示した。

RBチームは角田の今後の行動に注視しつつ、暴言を繰り返さないよう指導すると共に、F1ドライバーとしての模範としての役割を再確認する機会となった。

【コラム】英国人F1レポーターから見た角田裕毅の“暴言”問題「看過されるべき発言ではない。しかしF1での立場は失われない」

 RBからF1に参戦する日本人ドライバーの角田裕毅は、侮蔑的な暴言を吐いたとして罰金が科せられた。日本でも大きく報じられたこの件について、F1の現場ではどのような受け止め方をされているのだろうか?

 motorsport.comグローバル版のイギリス人F1レポーター、ジェイク・ボクソール-レッグが日本版に寄稿してくれた。

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 角田はF1オーストリアGPの予選Q1で、無線を通じて他のドライバーを「Retarded(知恵遅れ)」と呼んだことが原因で、4万ユーロ(約694万円)の罰金を科された。

 このRetardedという言葉は、一般的な悪態や侮辱的なコメントと異なり、能力主義的な中傷、知的障害者を指す時代遅れの表現だ。そのため、角田の言葉の選択は、障害者に対してしばしば使われることを考えれば、多くの人々にとって不快なモノであり、容認されるべきではなかった。

 裁定を下したスチュワードは、角田が謝罪し、英語が母国語ではないことから言葉の意味合いを知らなかったとして、一定の寛大さを示し、罰金の半額を執行猶予とした。

 これは妥当な裁定と言える。角田の暴言が悪意あるモノであったとは考えにくいし、角田は自身の発言がいかに悪いモノであったかを自覚し、償おうとしているように見えた。いかなる場面でも使っていい言葉ではないし、地位や性別、生い立ちに基づく他人への中傷も看過されるべきではないのだ。

 しかし今回の件を受けて、角田のF1での立場が損なわれることはないだろう。レッドブルのマックス・フェルスタッペンは数年前、ポルトガルで同様の発言を行ない、謝罪した。

 角田が所属するRBは目先の懸念を示していないが、ドライビング中の暴言により注意するよう角田に指導することになるだろう。

 角田がこれを教訓にしてくれることを願っている。F1ドライバーは模範であり、見ている人たちに良い手本を示さなければならない。