出場校で「部員最少」44人でも大学選手権を連覇…「重要なのは選手の自立」東都2部からわずか5年で青学大が躍進した“納得のワケ”

AI要約

青山学院大が全日本大学野球選手権で連覇を果たし、安藤監督が選手たちを称賛。

選手たちの高い能力と厚い選手層が勝利に貢献し、苦悩から復活した経緯。

安藤監督の指導方法や選手選考基準がチームの再生に大きく寄与した。

出場校で「部員最少」44人でも大学選手権を連覇…「重要なのは選手の自立」東都2部からわずか5年で青学大が躍進した“納得のワケ”

 6月16日に行われた全日本大学野球選手権決勝で早稲田大を破り、2011年の東洋大以来、史上6校目となる連覇を果たした青山学院大。安藤寧則監督は「幸せです。自慢の後輩です」と選手たちを称える。2019年の監督就任時は東都大学リーグ2部に低迷していた名門校は、いかにして復活を遂げたのか。

 試合後、敗れた早稲田大の小宮山悟監督は「ここという場面でねじ伏せられました。さすが東都で3連覇しているチーム。善戦はしましたが力負けを認めざるを得ません」と相手を称えた。目立ったのは青山学院大の選手たちの能力の高さと選手層の厚さだ。

 今春のリーグ戦で最多タイとなる4勝を挙げた4年生左腕・児玉悠紀だが、大学選手権で調子が上がらないと見るや、準決勝と決勝は渡辺光羽、中西聖輝、ヴァデルナ・フェルガス、鈴木泰成の2・3年生4投手で3失点に抑えた。打線もどこからでも得点が奪え、全国から集まった好投手たちを打ち崩した。

 また、安藤監督の我慢強い起用も実り、リーグ戦で規定打席到達者の中で最下位の打率.119に沈んだ中田達也が首位打者、同じくリーグ戦打率.178だった佐々木泰が準決勝の天理大戦で4安打6打点1本塁打と大暴れし、起用に応えた。

 選手層は厚いが、部員数は少ない「少数精鋭」だ。学生コーチやマネージャーを含めた44人という部員数(選手は34名)は、今大会の参加校の中で最も少ない。これは寮が大きくないゆえの制約だが、メリットにもデメリットにもなる。安藤監督の就任当初はデメリットが目立っていた。

 2014年秋の入替戦に敗れて以降、2部リーグから脱せずにいたチームは士気が大きく下がり、起用されている選手はそれだけで満足し、起用されていない選手は「どうせ出られないだろう……」という空気感が漂い、競争意識の低さが顕著だった。そこで安藤監督は「今まで出ていたからという理由や期待感だけで起用はしない。横一線だ」と競争を促した。

 その中で、全員で動き、全員とコミュニケーションを取ることを大事にした。練習は通常朝5時半から行うようにし、1限の授業がある選手もシートノックまでは必ず受けてから、授業に向かわせた。それまでは朝食後に練習を始め「1限の授業がある日は練習に出なくてよい」となっていた慣習を廃し、必ず全員で練習する時間を取り、指導者と選手がノックや会話を通してコミュニケーションを図ることを日課にした。

 高校生のスカウトも「足を運んで、自らの目で見ること」を大事にした。推薦枠はわずかに「8」。目利きの失敗は戦力低下に直結する。なるべくグラウンドを空けず、練習が休みの日に全国各地を精力的に回り、グラウンド上の姿だけでなく、バスから降りてくる姿や道具を率先して運ぶか否かなど、様々な所作を見た上で資質を見極めた。

「選考基準は私が惚れ込んだかどうか。そうじゃないと大事にできないですし、受け入れる側にも責任がありますから」と安藤監督はきっぱり話す。