EUROでルカクの同点弾阻んだ“謎の波形図”…その正体はアディダス製ボール内蔵の最新テクノロジー

AI要約

EURO2024(欧州選手権)で新たに導入されたテクノロジーにより、ベルギー代表の劇的な同点ゴールが取り消される展開があった。

主審が波形を基にハンドの反則を判定し、VARの活用が注目を集めた。

ボール内蔵の慣性センサーが使用され、半自動オフサイドテクノロジーの適用範囲が広がったことが試合結果に影響した。

EUROでルカクの同点弾阻んだ“謎の波形図”…その正体はアディダス製ボール内蔵の最新テクノロジー

 EURO2024(欧州選手権)で新たに適用範囲が広がった最新テクノロジーにより、ベルギー代表の劇的同点ゴールが無情にも取り消された。

 ベルギーは0-1で迎えたスロベニア戦の後半41分、ロングフィードに抜け出したFW ロイス・オペンダの折り返しからFWロメル・ルカクが左足でゴールに突き刺し、起死回生の同点弾が決まったかと思われた。ところが直後、VARが介入。オペンダがボールをコントロールした際、高く上がった手にボールが接触していたことが分かり、ハンドの反則でゴールは取り消された。

 主審がピッチ脇のモニターでスロー映像を再確認する「オンフィールドレビュー」を行った際、国際中継映像の画面左下には、心電図などを示すような波形が表示。これがハンドの判定に大きく影響したことが分かり、ファン・サポーターの注目を集めていた。

 実はこの波形は今大会から新たに導入されたシステム。アディダス製の公式球に内蔵されている慣性センサーにより、ボールの動きの変化を感知したことを示すものだ。

 ボール内のセンサーはこれまでも設置されており、本来はカタールW杯で初導入された「半自動オフサイドテクノロジー」にのみ活用されるものだったが、今大会から適用範囲が拡大。オフサイドの判定に限らず、ボールの接触があったか否かを判断するのにも使えるようになっていた。

 今回のケースでもしセンサーを使わなかった場合、手とボールの接触があったどうかはスロー映像によって慎重に確認する必要がある。しかし、センサーを使えるようになったことで、ボールの動きを示した波形図による迅速な判定が可能となった。

 なお、この試合のベルギーは後半11分にも、FWレアンドロ・トロサールのクロスをMFアマドゥ・オナナが頭で折り返し、ルカクがゴールに押し込んだが、これも半自動オフサイドテクノロジーで認められず。結果的に0-1で敗れたベルギーにとっては、最新テクノロジー判定に泣かされるEURO初陣となった。