【宮本慎也】阪神快勝も得点力不足解消には思えず 「4番近本」「8番木浪」の並びは再考すべき

AI要約

交流戦で大失速していた阪神が、やっと2勝目を挙げた。今試合は交流戦の最下位を争う西武で、不調で2軍調整が続いていた佐藤輝と伊藤将が復帰。白星で勢いをつけたい試合で、得点差だけを見れば快勝したが、今試合だけで得点力不足が解消したようには思えなかった。

佐藤輝の弱点はボール球に手を出すこと。オフに打撃フォームを改造し、今季はよくなると思っていたが、ボール球に手を出す癖は直っておらず、安定した打撃はできないままだった。しかし、2軍でリフレッシュした効果と、初打席でヒットが出たことにより、2打席以降はボール球に手を出さなかった。

現在の阪神打線でNO・1の打者といえば近本だろう。その近本を中心に打線を組むなら、少しでも打席が回るように上位に置いた方がいい。タイプ的にも4番タイプではない。実際、4番で打点を挙げたのは今試合が初だし、せめて1番から3番までが、近本を効果的に生かして起用する適材適所の打順だと思う。

【宮本慎也】阪神快勝も得点力不足解消には思えず 「4番近本」「8番木浪」の並びは再考すべき

<日本生命セ・パ交流戦:阪神5-1西武>◇7日◇甲子園

 交流戦で大失速していた阪神が、やっと2勝目を挙げた。今試合は交流戦の最下位を争う西武で、不調で2軍調整が続いていた佐藤輝と伊藤将が復帰。白星で勢いをつけたい試合で、得点差だけを見れば快勝したが、今試合だけで得点力不足が解消したようには思えなかった。

 まず得点力不足の解消へ、注目されたのは「5番・三塁」でスタメン復帰した佐藤輝だった。第1打席と第2打席にシングルヒットを打つなど、4打数2安打。特に復帰初戦の初打席でヒットが出て、本人にとっても気持ちが楽になったと思う。ヒットにしたのは外角の真っすぐで、見逃せばボールだった。この球を打ってヒットになったのがラッキーだった。

 佐藤輝の弱点は、ボール球に手を出すこと。オフに打撃フォームを改造し、今季はよくなると思っていたが、結局ボール球に手を出す癖は直っておらず、安定した打撃はできないままだった。しかし、2軍でリフレッシュした効果と、初打席でヒットが出たことにより、2打席以降はボール球に手を出さなかった。

 ただし「これで大丈夫」と言えるほど、改善するかどうかはまだ分からない。それより気になったのが打順の並び。「4番・近本」と「8番・木浪」は打順の並びを再考した方がいいと思った。

 昨年は「8番・木浪」が大当たりした。この成功は「1番・近本」の効果が大きい。木浪が出塁すると、投手の打順で送りバントや代打策が効果的に使えた。しかし「4番・近本」だと、8番の木浪が出塁しても、近本まで回ってきにくい。6回裏はこのパターンで近本まで回り、ダメ押しのタイムリーを放った。しかしチャンスで近本まで回ったのは「1番・中野」の打球を二塁手の山野辺がエラーし、前川が四球を選んだから。阪神サイドからすれば、ラッキーといえる巡りだった。

 現在の阪神打線でNO・1の打者といえば近本だろう。その近本を中心に打線を組むなら、少しでも打席が回るように上位に置いた方がいい。タイプ的にも4番タイプではない。実際、4番で打点を挙げたのは今試合が初だし、せめて1番から3番までが、近本を効果的に生かして起用する適材適所の打順だと思う。

 今季は打線のつながりも悪いのだから、8番の木浪を7番に上げ、打率1割台の坂本、もしくは梅野は8番でいい。佐藤輝が完全に復調するか、大山が本来の姿を取り戻して戻ってくるまでは、少ないチャンスをものにする打線の並びを選択した方が効果的だと思う。

 いずれにせよ、今の阪神打線で重要なのは「近本の有効活用」。どうやって巻き返し狙うのか、注目していきたい。(日刊スポーツ評論家)