「形になってきた」交流戦連勝スタート、小園・末包・坂倉の好調で、やりくり上手のカープ新井監督がようやく口にした成長の手応え

AI要約

広島が交流戦で好スタートを切り、苦しい開幕を乗り越えている。

過去3年間最下位だった広島が、3人の若手選手が躍動し得点力をアップさせている。

新井貴浩監督がチームビジョンを述べ、期待を寄せる若手選手たちの活躍がチームを引っ張っている。

「形になってきた」交流戦連勝スタート、小園・末包・坂倉の好調で、やりくり上手のカープ新井監督がようやく口にした成長の手応え

 強烈な個を擁していなくても、束になれば力は増大する。開幕序盤に苦しんだセパ2球団が、交流戦では好スタートを切った。パ・リーグでは大型連勝のロッテ。そしてセ・リーグでは、新井貴浩監督率いる広島だ。

 マツダスタジアムでの交流戦最初の対戦相手は、リーグ3連覇中のオリックスだった。5月28日の初戦は初回に奪った2点のリードを先発・床田寛樹から勝ちパターンのリレーで守り切る、今年の広島野球で取った。次戦は打線がつながり、今季最多タイ19安打で最多得点となる14点で大勝した。

 2022年まで交流戦は3シーズン連続最下位だった(20年は中止)。昨季は5割で乗り切ったが、今季は連勝で鬼門の印象を払拭してみせた。

 交流戦の連勝スタートは連覇した17年以来。当時はタナキクマル(田中広輔、菊池涼介、丸佳浩)の上位トリオに、若き4番の鈴木誠也(カブス)、新井貴浩(現監督)とリーグを代表する選手を擁し、ベンチにも代打、代走と控えも多士済々だった。真っ向からぶつかっても、パ球団のパワーやスピードに太刀打ちできる選手がそろっていたと言える。

 だが今は違う。秋山翔吾や菊池涼介といった経験ある選手は健在だが、開幕から限られた戦力をやりくりしながら白星を重ねてきた。5月21日から毎日更新されているオールスターゲームのファン投票で、リーグで唯一選出圏に誰もランクインしていないことがスター選手の不在を物語る。

 ただ、新井体制も2年目となり、チームづくりはさらなる一歩を踏み出そうとしている。

「形になってきたなと感じます。いつも言っているように、戦いながらチームが成長している、という実感はあります」

 今季初5連勝となった29日のオリックス戦後、新井監督は手応えを口にした。前向きな発言が目立つ指揮官ではあるが、チームビジョンに一定の納得度を示したのは意外だった。それだけの可能性を3人の選手に感じているのだろう。3人とは、5月18日の巨人戦から中軸に並ぶようになった小園海斗、末包昇大、坂倉将吾だ。

 3人がスタメン固定されるようになってからのチームは、30日までの11試合で1試合平均得点5.2点をたたき出した。一発長打を秘めた末包が昇格する前日までの29試合は1試合平均2.7点だった。

 相乗効果もある。同世代の3選手が並ぶことで競うようにアピールする。

■11試合の打撃成績

小園/打率.364・1本塁打・7打点

末包/打率.333・4本塁打・13打点

坂倉/打率.333・1本塁打・5打点

 3選手で計6安打4得点4打点をマークし、今季最多得点に貢献した29日オリックス戦後、小園が「スエさんにプレッシャーを与えられるように今は頑張ってやっています」と言えば、末包も「小園がよく打つのでしっかりつないでいきたい」と応える。

「サク(坂倉)とよく話している。5番6番が何とかすれば、(打線は)回っていく。4番までにランナーが出て、得点圏で5番、6番がダメだった場合、またそこから次の得点圏をつくろうとなると、また5番、6番に回ってくることが多い。だから中軸でなんとか1本でも打てば、打線の巡りも良くなっていって打線になってくると思うので、そこはサクと2人で頑張ろうって話はしています」

 3選手の中で最年長の末包がそう語るように、3選手のうち2選手が同じイニングで出塁した回は17度あり、そのうち11度は得点に結びつけている。