OBも「怖くてできない」と驚愕…日ハム・新庄監督の采配には、昨季との「大きな違い」があった!

AI要約

新庄マジックが止まらない。交流戦最初のカードとなった阪神との初戦は、1番に抜擢した水谷瞬が効果的なヒットを重ねるなど、若い選手が躍動。さらに2戦目には、先発投手の山﨑福也を6番に起用すると、先制タイムリーを放つ。

新庄剛志監督が「理想は2ゲーム。直接対決で抜かすのが、いちばんドラマチック」と、交流戦期間中にパ・リーグ首位のソフトバンクを射程圏内に入れる目論見に向かって、昨季日本一の古巣に連勝。

2年連続最下位だったチームは、なにが変わったのか。球団OBの金村暁氏が解き明かす。

OBも「怖くてできない」と驚愕…日ハム・新庄監督の采配には、昨季との「大きな違い」があった!

 新庄マジックが止まらない。交流戦最初のカードとなった阪神との初戦は、1番に抜擢した水谷瞬が効果的なヒットを重ねるなど、若い選手が躍動。さらに2戦目には、先発投手の山﨑福也を6番に起用すると、先制タイムリーを放つ。

 新庄剛志監督が「理想は2ゲーム。直接対決で抜かすのが、いちばんドラマチック」と、交流戦期間中にパ・リーグ首位のソフトバンクを射程圏内に入れる目論見に向かって、昨季日本一の古巣に連勝。

 2年連続最下位だったチームは、なにが変わったのか。球団OBの金村暁氏が解き明かす。

 「暁、ちょっといいか?」

 新庄監督が球場にいた金村氏を呼び寄せたのは、4月の末のことだった。

 「金村(尚真)を5月8日あたりで先発に戻そうと考えているんだけど、どう思う?」

 2016年から7年間、1軍コーチとして阪神の鉄壁投手陣の構築に尽力した金村氏に意見を求めた新庄監督の「金村先発復帰プラン」に、金村氏も驚きを隠さない。

 「僕も金村は先発で2桁勝利できる力を十分に持っていると考えているので、大賛成でした。開幕から先発ローテーションに入れなかったのが不思議だったのですが、話を聞くと、開幕からスタートダッシュを決めるために金村に勝ち試合の8回を任せたようです。

 昨季、そこを担っていた池田隆英が怪我で出遅れてしまったこともありますが、日ハムの4月は6連戦が組まれておらず、先発は5枚で回すことが可能だったんです」(以下、「」は金村氏)

 新庄監督の策は見事に的中し、金村は期待に応えて無失点投球を続けた。4月23日には回をまたいだ2イニング目に痛恨の同点ソロを被弾したが、チームは延長12回の熱戦を制した。ファンが劇的勝利に酔いしれる中、すでに指揮官の驚きの計画は始まっていた。

 「この日、2イニングを投げたのは、先発復帰に向けた第一段階だったんです。徐々に球数を増やして投げるスタミナを戻していく。これを1軍でやってしまうなんて、考えられません。

 投手コーチでは到底、浮かばない発想です。投手コーチはやはり1軍の試合はすべて大事で、調整の場にすることはできません。投げるスタミナがないのに3イニング目に行かせて『球威が落ちて打たれたらどうしよう』というのは、すごく怖いんです。

 球数を投げていないと投げるスタミナは落ちてくるので、コーチ陣からも金村を中継ぎに入れることはすごく反対されたそうです。先発に戻そうと思ったら、2軍でそれなりの調整期間が必要になりますからね。でも、ありえないことを新庄監督はやってのけてしまう」

 金村は5月1日に3イニングを38球で無失点に抑えると、5月8日、満を持して先発登板。2失点ながら4回で降板している。

 「75球を想定していたそうで、本当はもう少し長いイニングを投げてほしかったんでしょうが、球数が来たので予定通りに継投。次の登板では5回91球で1失点。前回登板の24日には100球で7回1失点と、新庄監督の計算通りに6連戦が続く交流戦期間前までに完全に先発投手に戻ったんです」

 5月31日のDeNA戦では、8回117球2失点と、またも好投。チームは敗れたものの、先発ローテーション投手としての輝きは増すばかりだ。